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血液検査で「9割」のがんを判別 膵臓、大腸、前立腺、乳、子宮体がん
2017年11月08日
千葉県がんセンターなどの研究チームは、血中に微量に含まれる元素17種類の濃度を測定することで、90%近い確率でがんを早期に診断できる方法を発見したと発表した。
数滴の血液でがん判別 微量元素に着目
研究は、千葉県がんセンター研究所、神奈川県立がんセンター臨床研究所、半導体メーカー「レナテック」などの研究チームが、経済産業省の助成を得て行ったもの。
研究チームは、血中の微量元素の濃度がんの種類によって違うことに着目。患者の血清中にある微量元素の濃度を測定し、それぞれの割合を算出することで、がんかどうかやがんの種類を判断するのに成功した。
測定するのは、ナトリウム、マグネシウム、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、セリン、ルビジウム、ストロンチウム、ヒ素、モリブデン、セシウム、コバルト、銀の17元素。
血清中の微量元素の測定・解析は取り扱いが容易であり、かつ測定機器も工業用のものが流用できるため、測定コストが低く抑えられ、がんを早期に見つけるスクリーニング検査としては極めて安価に提供できるという。
研究チームは、▽膵臓がん、▽前立腺がん、▽大腸がん、▽乳がん、▽子宮体がんの5種類のがんについて、がん患者計約960人とがんではない約550人の血清を集め、千葉と神奈川の2カ所で微量元素の濃度を測定し、データを解析した。
その結果、男性では膵臓がん 88.0%、大腸がん 83.9%、前立腺がん 89.7%、女性では乳がん 84.2%、子宮体がん 89.0%、大腸がん 87.1%と、いずれも9割近い確率で診断できた。
1回の採血で8~10種類の「がんのリスク」を判別
現在がん検査で主流の腫瘍マーカーによる的中率は前立腺がん25~50%、大腸がん30%などとなっているのに対し、新しい検査方法では大幅に精度が向上している。
また、がん検診や人間ドックでは発見が困難な膵臓がんや子宮体がんに対しても有効で、絶食などの前処置や苦痛を伴う検査が必要な大腸がんや前立腺がんも、この簡易的な血液検査で発見できという。
通常の画像診断検査でも見つからないような小さながんを早期に発見でき、外科手術後の定期的な血液検査の際に、余った血液を利用することで、いち早く再発の有無を把握できる。
現在、胃、肺、肝臓、胆嚢、卵巣、子宮頚部、甲状腺のがんに関してもデータの収集と微量元素の測定を継続しており、最終的には、1回の採血で8~10種類の「がんのリスク」を判別できる見込みだ。
人間ドックへの導入など、微量元素の測定機器は2019年春をめどに国の医療機器の承認を目指すという。
同研究所の永瀬浩喜所長は「がん検診などでより多くの患者を対象に研究を重ね、臨床試験を経て実用化につなげたい。人間ドックなどの際に採取した血液も使え、安価で身体的負担も少ない新たな検診方法となる可能性がある」と話している。
千葉県がんセンター
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