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高カフェインの「エナジードリンク」で健康被害が 摂取の制限を検討
2017年11月29日

「エナジードリンク」の飲み過ぎは、肥満、2型糖尿病、血圧上昇、肥満や腎障害などの深刻な健康被害を引き起こすおそれがあり、とくに思春期前の子供では危険性があるので、摂取の制限を検討する必要があるという研究が発表された。
エナジードリンクの市場は拡大している
エナジードリンクの市場は世界規模で拡大を続けている。そのため、エナジードリンクの副作用について検討する必要があり、広告宣伝で謳われている内容や、公衆衛生で考えられる影響などを検討する必要があるという研究が発表された。研究は専門誌「Frontiers in Public Health」に発表された。
ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームによると、エナジードリンクは健康に対する有害性が高く、とくに子供や若年の成人が健康被害を受けるおそれがあるという。思春期以前の子供に対しては、エナジードリンクの摂取制限を行うべきで、カフェイン含有量の上限規制も検討する必要があるとしている。
エナジードリンク産業は過去20年間で拡大しており、米国の市場規模は1兆円を超えている。企業はこれらの飲料を健康的なイメージと結び付けて宣伝しており、エネルギーやスタミナ、運動パーフォーマンスや集中力の向上などを印象付けようとしている。
しかし、注意しなければならないのは、エナジードリンクに含まれる栄養成分は健康に悪影響をもたらす可能性があり、安全性について十分に検証されていないことだ。
2本で1日のカフェイン摂取量の上限を超えることも

カフェインを摂り過ぎると副作用が
カフェインには、中枢神経に働きかけ、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用や、骨格筋に働き、疲労感を抑え活動性を増大させる作用がある。
また、カフェインは心臓の心筋に作用し、収縮力や拍出量を増加させたり、腎臓の血管を拡張させ、腎臓への血流量を増やし尿の生成を促す利尿作用がある。
しかし、カフェインを大量に摂取すると、不眠症や神経症、心拍数の増加、血圧の上昇、不整脈、腎障害が引き起こされるおそれがあるという。
また、エナジードリンクとアルコールを同時に摂ってしまうと、相乗的に危険性が高まることが懸念されるという。こうした飲み方でアルコールを摂取すると、アルコール単独よりもより消費量が多くなる傾向がある。
エナジードリンクの作用により、アルコールによる酩酊感が隠されてしまい、結果としてより多くのアルコールを無意識に摂取してしまい、アルコールの急性中毒が引き起こされるおそれがある。
エナジードリンクを飲むと血糖値が上昇

Health Effects and Public Health Concerns of Energy Drink Consumption in the United States: A Mini-Review(Frontiers in Public Health 2017年8月31日)
Energy drink consumption impairs oral glucose tolerance in adolescents: a randomized, double-blind, crossover pilot study(カルガリー大学 2015年12月7日)
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