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厚労省が不妊治療と仕事の両立に関して初めての調査を実施

 厚生労働省はこのほど、「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査事業」の調査結果報告書を公表。大多数の企業が不妊治療を行っている従業員を把握しておらず、労働者も約6割が不妊治療をしていることを職場でオープンにしたくないと考えていることなどが明らかになった。厚生労働省が、不妊治療と仕事の両立に関して調査を行うのは初めて。

 調査は2017年、不妊治療と仕事の両立に関する実態や問題点、企業における両立支援状況などの把握と分析を行うことが目的に、企業と労働者を対象にそれぞれアンケートで実施。

 企業アンケートは「女性の活躍推進企業データベース」でデータ公表を行っている約7900 社から、従業員規模10 人以上の企業4000 社を無作為で抽出し、779 社から回答を得た。このうち11社においてはヒアリング調査も実施している。

 「不妊治療を行っている従業員の把握状況」では、67%が「わからない」と回答。「不妊治療のための制度導入数」についても、「特化した制度はない」が81%を占めた。制度がある企業のうち、一番多かったのは「不妊治療のための休暇制度」だった。

 一方、不妊治療に特化はしないものの、不妊治療を行っている従業員も利用可能な制度がある企業は43%。そのうち最も多い制度は、「半日単位・時間単位の休暇制度」だった。

 労働者アンケートは男女労働者2,060 人の登録モニターを対象に、インターネット調査で行われた。

 14%の人が不妊治療を経験、もしくはこれから予定しており、そのうち53%の人が「仕事と不妊治療を両立している」と回答。しかし87%の人が両立を難しいと感じており、その理由は「通院回数が多い」、「精神面で負担が大きい」「待ち時間など通院時間にかかる時間が読めない、医師から告げられた通院日に外せない仕事が入るなど、仕事の日程調整が難しい」の順で多かった。

 一方、「両立できなかった」と答えた人は全体の35%に上り、その結果、「仕事を辞めた」(16%)、「不妊治療を辞めた」(11%)、「雇用形態を変えた」(8%)となっていた。

 また職場で不妊治療をしていることを伝えている人の割合は38%。職場でオープンにしない理由は「不妊治療をしていることを知られたくないから」、「周囲に気遣いをしてほしくないから」などだった。一方、職場に不妊治療をしていることを伝えている人のうち、18%が上司や同僚から嫌がらせや不利益な取り扱いを受けていたことも明らかになった。

 不妊治療と仕事の両立を図るため、行政に望む支援は「不妊治療への国民・企業の理解を深める」が最も多かった。

報道発表「不妊治療と仕事の両立に関して厚生労働省として初めての調査を実施しました」(厚生労働省)
[yoshioka]
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