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「男性型脱毛症」(AGA)の原因は血流不足やストレス? 近畿大学などが解明
2018年05月30日

多くの男性が悩まされている「男性型脱毛症」(AGA)の要因は、遺伝的なものと男性ホルモンの影響と考えられているが、ヘモグロビンや静脈酸素も大きく関わっているという研究を、近畿大学などが発表した。新たな治療法の開発につながる可能性がある。
「男性型脱毛症」(AGA)に生活習慣やストレスなどが影響
近年、薄毛に悩む男性の数は増加傾向にあり、なかでも男性でもっとも多い脱毛症が「男性型脱毛症」(AGA)だ。AGAは、遺伝的要因と男性ホルモンによる影響が強いというイメージがある一方で、多くの環境的な要因も関与していることが知られている。
今回、近畿大学やリーブ21などの研究チームは、2012年から行っている共同研究で、AGAが生活習慣やストレスなどにも起因している可能性があることを突き止めた。
研究では、20~40歳代のリーブ21の男性会員45人を対象に、「Reve21簡易分類」を用いて「軽症群」と「重症群」に分類し、ストレスや運動、食生活といった生活習慣などのアンケート調査を行った。また、非侵襲型測定器による血管幅やヘモグロビン推定量、唾液αアミラーゼ活性を測定した。

脱毛度が「重症」の男性はヘモグロビン値が高い
その結果、脱毛度が「重症」の男性は「軽症」の男性に比べ、ヘモグロビン推定値が有意に高い値を示した。
ヘモグロビンは血流に乗って体のすみずみまで酸素を運んでいくため、ヘモグロビン値が低下すると体内の各所で酸素不足が生じ、血色不良、動悸、息切れ、疲労、倦怠感、めまい、たちくらみなどの症状があらわれる。逆にヘモグロビン値が高過ぎる場合は、赤血球が増え過ぎて、頭痛、めまい、のぼせ、高血圧などの原因になる。
一般的にヘモグロビン値は、脱水症状や酸素不足などが原因となり高くなることが知られている。酸素がない状態が続くと、体がヘモグロビンを増加させ、結果的にヘモグロビンの濃度が高くなる。ヘモグロビン値が高い場合は血流が不足し、脱毛に影響する可能性が考えられる。栄養のバランスを崩していたり、ストレスや喫煙なども影響する。

AGAと環境的要因の関係を解明
これらから、AGAが生活習慣やストレスなどにも起因する可能性があり、ヘモグロビン量や静脈酸素化指標などの測定は、脱毛症の改善や早期発見に寄与できる可能性が示された。
研究は、近畿大学薬学部医療薬学科公衆衛生学研究室の川﨑直人教授と近畿大学医学部奈良病院皮膚科の山田秀和教授、毛髪クリニックリーブ21によるもの。5月に大阪国際会議場で開催された第18回日本抗加齢医学会総会で「男性型脱毛症(AGA)とヘモグロビン量またはストレスとの関連性に関する基礎研究」として共同発表された。
研究チームは今後、AGAと生活習慣やストレスなどの関連を詳細に調査して、AGAと環境的要因の関係を解明するとしている。
近畿大学薬学部医療薬学科公衆衛生学研究室毛髪クリニック リーブ21
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