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保健指導をオンラインで支援 金沢大学がIoT活用で新たな保健指導サービス
2018年12月05日
金沢大学などは、「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究」で実施する臨床研究を開始した。
IoTデバイスとAIなどのテクノロジーを活用したアプリを軸に、特定保健指導の実施率および継続率を向上させる仕組みづくりに取り組む。
糖尿病患者に対する療養指導の臨床研究も進めている。
IoTデバイスとAIなどのテクノロジーを活用したアプリを軸に、特定保健指導の実施率および継続率を向上させる仕組みづくりに取り組む。
糖尿病患者に対する療養指導の臨床研究も進めている。
糖尿病や高血圧、脂質異常症の重症化予防
金沢大学国際基幹教育院GS教育系の米田隆教授、ウィット、芳珠記念病院、北陸中央病院、北陸先端科学技術大学院大学は、「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究」で実施する臨床研究を2018年11月から開始すると発表した。この研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の2018年度「IoT等活用行動変容研究事業」に採択されている。
AMEDの「IoT等活用行動変容研究事業」は、IoTデバイスを活用して収集した健康情報をもとに個人の行動変容を促すことで、糖尿病や高血圧、脂質異常症の重症化予防、介護予防、健康経営などにつなげる取り組みの科学的なエビデンスを構築し、その社会実装を目標とする事業。
今回の研究は、「高血圧性疾患または脂質異常症の重症化予防のためのIoT活用による行動変容促進サービスの創出に関する研究」として、特定保健指導対象者に焦点を当てている。
IoTデバイスとAIなどのテクノロジーを活用したアプリを軸に、特定保健指導の実施率および継続率を向上させる仕組みの構築と、その実用化に取り組む。受診勧奨や薬物治療を受ける前の段階である保健指導対象者は、生活習慣への介入効果が期待でき、IoTリテラシーも高く、この取り組みが浸透しやすいとしている。
IoTデバイスを活用し行動変容を促進
2008年に始まった特定健診は、現在約5,360万人が対象となっているが、受診者の割合は約51.4%と伸び悩んでいる。うち特定保健指導の対象者は約469万人だが、指導実施者の割合は18.8%にとどまる。
そのため、自宅から離れた医療機関での特定保健指導継続に要する距離的・時間的な負担感を軽減し、日々の体重、血圧、歩数、食事内容などの生活情報のモニタリングと評価(フィードバック)を受けられる仕組みを作るなど、特定保健指導の対象者が取り組みを中断しないようにするための工夫が求められている。
研究ではまず、従来の保健指導に、ウィットが開発した食習慣改善アプリ「あすけん」を活用した栄養指導を取り入れることで、保健指導のセルフモニタリングを支援し、より多くの対象者を行動変容に導くことを目指す。
「あすけん」は、利用者数が260万人を超える食事管理・ダイエットアプリ。記録した食事に応じて管理栄養士監修のアドバイスを受けられることなどが特徴となる。
具体的には、石川県内および富山県内で従来の特定保健指導を受ける約300人(高血圧、脂質異常症および糖尿病の治療中は含まない)を対象に、IoTデバイスとAIテクノロジーを活用した「あすけん」アプリをベースとするオンライン食事指導を6ヵ月間付加し、行動変容の有無を評価、各種指標の解析・評価を行う。
実際にIoTデバイスを使用することで分かる課題や注意点、利点をもとに、医学的な有効性・安全性を確保しつつ、対象者の距離的・時間的負担を最大限に減らす、新しいオンライン保健指導サービスの構築につなげる。
関連情報
糖尿病患者に対する療養指導の臨床研究も進行
金沢大学が中心となって2009年度の総務省「ふるさとケータイ創出推進事業」以来蓄積してきた在宅健康サービスシステム構築の知見を基盤とし、「あすけん」が一般ユーザーとともに培ってきた楽しみながら食事管理をする機能やノウハウと、芳珠記念病院と北陸中央病院に蓄積された長年の地域保健指導の実績と経験、さらには石川県の中核研究組織であるJAISTの医療サービス・システム技術に係る知力を結集し、「Society5.0」におけるオンライン保健指導サービスの実用化を目指す。
また、この研究と並行し、金沢大学とウィットは「あすけん」を利用した、糖尿病患者に対する療養指導の臨床研究も進める。IoTデバイスを使って食事療法をより楽しく、より多くの患者が、安全かつ効果的に実施することで、医療者だけでなく受診者や患者も主体となりともに取り組める治療の仕組み作りに貢献する。
「Society5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな経済社会。特徴となるのは次の3点――。(1) サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させる、
(2) 地域、年齢、性別、言語などによる格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで、経済的発展と社会的課題の解決を両立する、
(3) 人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会。
出典:内閣府 総合科学技術・イノベーション会議「Society 5.0 実現に向けて」 生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究
金沢大学国際基幹教育院
あすけん(ウィット)
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