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チーズなどの発酵乳製品に含まれる「βラクトリン」が中高年の記憶力を改善
2019年05月08日
チーズなど乳製品に含まれる「βラクトリン」が中高年の記憶力を改善するという研究を慶應義塾大学が発表した。「βラクトリン」が多く含まれる乳由来の食品素材も開発されている。
βラクトリンが記憶力を改善
慶應義塾大学などの研究グループは、乳由来の認知機能改善ペプチドである「βラクトリン」が、健常の中高年を対象としたランダム化比較試験で記憶力を改善することを確認したと発表した。
乳製品に認知症を予防する効果があり、カマンベールチーズなどの発酵乳製品に多く含まれるペプチドである「βラクトリン」に認知機能を改善する効果があるという研究が報告されている。
これまでキリンホールディングスの研究グループは東京大学との共同研究で、白カビで発酵させたカマンベールチーズの摂取に、アルツハイマー病を予防する効果があり、その有効成分として認知機能改善ペプチドである「βラクトリン」を発見し、老化にともなう認知機能低下を改善することを非臨床試験で確認した研究を報告している。
「βラクトリン」は、βラクトグロブリン由来のテトラペプチド(GTWY)で、海馬や前頭皮質のドーパミンなどのモノアミン量を増加させることで空間作動記憶やエピソード記憶などを改善することが非臨床試験で確認されている。しかし、これまで「βラクトリン」のヒトの認知機能へ及ぼす作用はよく分かっていなかった。
そこで研究グループは、「βラクトリン」が多く含まれる乳由来の食品素材を独自に開発し、健常中高年を対象にランダム化比較のヒト試験を実施した。その結果、「βラクトリン」摂取群ではプラセボ摂取群と比較して、認知機能を、とくに記憶力を改善することを確認した。
研究は、慶應義塾大学文学部心理学研究室の梅田聡教授、キリンホールディングスR&D本部健康技術研究所の研究グループによるもの。その成果は国際学術誌「Frontiers in Neuroscience」に掲載された。
関連情報
ヒトでの効果をはじめて確認 食品も開発
Supplementation with Whey Peptide Rich in β-Lactolin Improves Cognitive Performance in Healthy Older Adults: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study(Frontiers in Neuroscience 2019年4月24日)
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