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9割の事業所で受動喫煙対策に取り組むも、さらなる徹底を 厚労省労働安全衛生調査

 厚生労働省はこのほど、2018年の労働安全衛生調査(実態調査)の概況を公表した。前年度調査に比べると、メンタルヘルス対策に取り組む事業所が増えた一方、ストレスチェックを実施している割合は減少。
 また受動喫煙防止対策では約9割の事業所が「取り組んでいる」としたが、労働者に対する調査では約3割の労働者が職場で受動喫煙が「ある」と回答しており、対策の徹底が求められる結果となった。

ストレスチェックの実施率は減少
 同調査は事業所の安全衛生管理や労働災害防止活動の実態、また労働者の仕事上のストレスや受動喫煙などの実態を把握するために行われているもの。今回は全国で無作為に抽出された事業所約7700の回答と、そこで働く労働者約9000の回答を基にしている。

 事業所の調査結果では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.2%で、前年度の調査よりも0.8ポイント増加。一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所のうち、ストレスチェックを実施した事業所の割合は62.9%と、前年度調査より1.4ポイント減少した。

 ストレスチェックを実施した事業所の多くは結果を集団(部、課など)ごとに分析し、「残業時間削減、休暇取得に向けた取組」などに活用していた。

受動喫煙防止の徹底を
 また受動喫煙防止対策については、88.5%の事業所が取り組んでいると回答。この割合は前年度比3.1ポイント増加した。

 具体的には「事業所の建物内全体(執務室、会議室、食堂、休憩室、商談室等含む)を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能としている」が 38.8%と最も多く、次いで「事業所の内部に空間的に隔離された喫煙場所(喫煙室)を設け、それ以外の場所は禁煙にしている」が 19.3%、「屋外を含めた事業所敷地内全体を禁煙にしている」が 13.7%だった。

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 一方、職場の受動喫煙防止の取り組みを行うにあたり、約4割の企業で「問題がある」とないう回答があったが、その理由は「顧客に喫煙をやめさせるのが困難である」、「喫煙室からのたばこ煙の漏えいを完全に防ぐことが困難である」などが多かった。

「治療と仕事の両立」の取り組みは10ポイント増
 がんや糖尿病など傷病を抱え、何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組を行っている事業所の割合は 55.8%で、前年度調査から9.1ポイント増加した。

 取り組み内容は「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整等)」が最も多く、次いで「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」となった。

 産業医については、専任している事業所の割合は29.3%。選任義務がある事業所規模50人以上では84.6%にとどまった。

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 一方、労働者を対象にした調査では、「仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある」とした労働者の割合は58.0%。その内容は「仕事の質・量」が 最も多く、「仕事の失敗、責任の発生等」、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)が続いた。

 また職場での受動喫煙について「ほとんど毎日ある」、「ときどきある」と回答した労働者の割合は合わせて28.9%。このうち43.2%で「不快に感じること、体調が悪くなることがある」と答えていた。

[yoshioka]
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