ニュース
「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」を公表 厚労省
2019年10月15日
厚生労働省は今年7月に、「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」を公表した。昨年7月に成立した「健康増進法の一部を改正する法律」(以下、改正法)により、望まない受動喫煙を防止するための取り組みは「マナーからルールへ」変更となる。
一方、職場における受動喫煙防止は労働安全衛生法でも定められており、ガイドラインは両方の観点から事業者がどのような対応を取るべきか、まとめられたものとなる。
受動喫煙による健康への影響を受けやすい人には特別な配慮が必要
改正法では多数の人が利用する施設などの管理者に、従業員の受動喫煙を防止する措置を義務として設定。一方、労働安全衛生法では、屋内における労働者の受動喫煙防止について努力義務を事業者に課している。
そのためガイドラインは、改正後の健康増進法で義務付けられる事項と、労働安全衛生法の努力義務として事業者が実施すべき事項を一体的に示したものとなる。ガイドラインではまず「組織的対策」として、推進計画の策定や担当部署の指定、労働者の健康管理などがあることを紹介。
特に妊娠している労働者や呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者、がんなど疾病を治療しながら就業する労働者、化学物質に過敏な労働者など、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念がある人には特別な配慮が必要であるとしている。
20歳未満の従業員は、喫煙可能部分への立入禁止
「喫煙可能な場所における作業に関する措置」では、喫煙専用室など喫煙可能部分へ20歳未満の従業員を立ち入らせることは禁止される、と説明。
健康増進法で適用除外になっている宿泊施設の客室(個室に限る)や職員寮の個室、特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの入居施設の個室、業務車両内等についても、20歳未満の者が喫煙可能な場所へ立ち入らない措置を講じるよう事業者には求められている、とした。
一方、20歳以上の労働者についても望まない受動喫煙を防止するため、「勤務シフトや勤務フロア、動線の工夫」「喫煙専用室等の清掃における配慮」「業務車両内での喫煙時の配慮」などが有効だと解説している。
各種施設における受動喫煙防止対策
最後に「各種施設における受動喫煙防止対策」としては以下の3つがあり、ほかにも「喫煙目的施設」や「既存特定飲食提供施設」などの対応について説明しているほか、「受動喫煙防止対策に対する支援」についても紹介。
(1) 第一種施設
「第一種施設」とは多数の人が利用する学校や病院、児童福祉施設、そのほか受動喫煙で健康を損なうおそれの高い人たちが主に使う施設のこと。第一種施設は健康増進法で「原則敷地内禁煙」となる。そのため、技術的基準を満たす屋外の喫煙場所を除き「労働者に敷地内で喫煙をさせないこと」としている。
(2)第二種施設
「第二種施設」は多数の人が利用する施設のうち、第一種施設や喫煙目的以外の施設のことで一般の事務所や工場、飲食店なども含まれる。第二種施設も健康増進法で同様に「原則屋内禁煙」となることから、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準に適合した部屋を除き、労働者の屋内での喫煙が禁じられる。
(3)既存特定飲食提供施設
「既存特定飲食提供施設」は個人または資本金5,000万円以下の会社が経営している、客席面積が100平方メートル以下、などの条件を満たした飲食店を指す。事業者には喫煙可能室(喫煙も、飲食物の提供も可能な部屋)を設置していても、受動喫煙を望まない者への配慮は必要だとしている。
別紙では、喫煙専用室やたばこ専用喫煙室などを設置する際の技術的基準の概要を説明するとともに、効果的な設置方法についても詳しく解説している。
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要