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「産後ケア事業」の実施を市区町村の努力義務に~改正母子保健法が成立
2019年12月26日

産後ケアで安心して子育てができる支援体制を
厚生労働省は2017年8月に「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」を公表。
この中で「どの市区町村に住んでいても、母子保健事業や保健・福祉・医療等の関係機関の連携によって効果的な運営がなされ、妊産婦や乳幼児等が安心して健康な生活ができるよう、利用者目線に立った一貫性・整合性のある支援の実現が期待される」としていた。
今回の改正法で言う「産後ケア事業」とは、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女性および乳児に対して、心身のケアや育児のサポートなど(産後ケア)を行い、産後も安心して子育てができる支援体制を確保するもの。
現在、予算事業として実施している市町村事業の「産後ケア事業」を母子保健法上に位置付け、各市町村に実施の努力義務を規定した。
「産後ケア事業」の実施主体は市町村で、事業の全部または一部を委託することもできる。内容は、母子の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話、育児に関する指導もしくは相談その他の援助としている。
実施類型としては①短期入所型、②通所型(デイサービス型)、③居宅訪問型(アウトリーチ型)があり、病院、診療所、助産所その他厚生労働省令で定める施設で実施する。人員、設備、運営等は厚生労働省令で定める基準に従う。

産後ケア実施には予算や人員の問題も
市町村には「妊娠期から出産後に至る支援を切れ目なく行う」という観点から、以下を図ることにより、「妊産婦及び乳児に対する支援の一体的な実施その他の措置を講ずるよう努めなければならない」と定められた。
・母子健康包括支援センターその他の関係機関と必要な連絡調整
・母子保健法に基づく母子保健に関する他の事業、児童福祉法その他の法令に基づく母性及び乳児の保健及び福祉に関する事業との連携
また、2018年3月にみずほ情報総研株式会社がまとめた「産後ケア事業の現状及び今後の課題並びにこれらを踏まえた将来の在り方に関する調査研究」報告書によると、全市町村を対象にしたアンケート(回収結果1384件、回収率79.5%)で産後ケア事業を「実施している」市町村は26.2%(362件)。
「未実施だが今後実施予定」(34.4%)と合わせると、60.5%(838件)の市町村が将来的には産後ケアを実施見込みだった。
一方、「未実施だが今後実施予定なし」と回答した市町村は28.6%(396件)あり、このうち出生数「50人以下」が一番多かった。また産後ケア事業の実施予定がない理由は「予算や人員の確保が難しい」が66.2%で最も多かった。

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