ニュース
年末年始は「夜ふかし・朝寝坊」しない 「体内時計」で体のリズムを調整 6つの対策で生活を朝型に
2019年12月24日

休日が続いたときや、土曜日や日曜日に、ゆっくり休んだはずなのに、勤務日に体がだるいと感じることはないだろうか? それは「体内時計」が乱れているからかもしれない。
生活が「夜型」になると、体調不良だけでなく、肥満や2型糖尿病、うつ病などの発症リスクも上昇する。解消するために日常生活で工夫することが大切だ。
生活が「夜型」になると、体調不良だけでなく、肥満や2型糖尿病、うつ病などの発症リスクも上昇する。解消するために日常生活で工夫することが大切だ。
休日の夜ふかしや朝寝坊が「概日リズム」の乱れに
仕事のある平日は定刻に起きていても、休日に遅くまで寝ていると、疲れが思ったようにとれないという経験はないだろうか? 睡眠習慣が乱れると、「体内時計」が狂ってしまうおそれがある。
ヒトの体の生命機能(睡眠、活動、ホルモン分泌、体温、免疫機能、消化機能など)は約24時間のリズムをもっている。こうした全身のさまざまなリズムは、「概日リズム(サーカディアン リズム)」と呼ばれている。
概日リズムの異常は、時差ボケや睡眠障害などのリズム障害を引き起こすだけでなく、肥満やメタボ、2型糖尿病、がん、うつ病などのメンタルヘルスとも関連していると考えられている。
概日リズムは、脳の視床下部にあるにある「視交叉上核(SCN)」によってコントロールされている。
「SCNは、いわばオーケストラの指揮者のように、約24時間の周期の体内時計を調整しています。SCNが不調になると、こうしたリズムが乱れ、規則正しい睡眠や食事などのリズムも失われてしまいます」と、トロント大学のジェサ ギャンブル氏は言う。
ギャンブル氏は概日リズムに関する研究しており、概日リズムは日の光の影響を受けやすく、日照時間の変化に対応して体内時計が調整されていることを解明してきた。
気分の変調をきたし、うつ病のような症症が起こる「季節性感情障害(季節性うつ病)」は、日照時間が短い冬に起こりやすい。概日リズムにともない増減するメラトニンというホルモンが関わっていると考えられている。
概日リズムの乱れは糖尿病のリスクを高める
休日はいつもより遅くまで寝ているなど、平日と休日で生活パターンに時差があると、平日に時差症状が出る場合がある。不規則な生活などが原因で、体内時計と生活時間との間にずれが生じるのが「社会的時差ぼけ(ソーシャル ジェットラグ)」だ。
休日に夜ふかしや朝寝坊をして就床時刻や起床時刻がずれると、それをきっかけに体内時計が乱れやすくなる。週末や休日だけの生活リズムの乱れと軽く考えがちだが、体への影響は決して少なくない。
概日リズムの乱れは2型糖尿病のリスクを高めることが、米国のメイヨークリニックの研究でも明らかになっている。
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞、糖を取り込む骨格筋、糖を産生する肝臓の細胞などは概日リズムの影響を受け、協調し合うことで血糖値を一定に保つよう機能している。体内時計が乱れると、これらの器官でインスリン分泌とインスリン作用がうまくいかなくなる。
「概日リズムの乱れが、2型糖尿病や肥満、メタボ、睡眠障害などの新たな環境リスク要因である可能性が強いのです。概日リズムが破壊されると、血糖値を一定に保つ体の恒常性が乱れる原因になります」と、メイヨークリニック生理・生物医学部のアレクセイ マトヴェイエンコ氏は言う。
体内時計を調整するための6ヵ条

1 朝は同じ時刻に起きる |
2 朝食をきちんと食べ、夜遅くに食事をしない |
3 適度な運動が良い睡眠をもたらす |
4 就寝1〜2時間前に入浴して深部体温を上げる |
5 光で体内時計を整える |
6 寝る前にスマートフォンを使わない |
Timing is Everything: Modern life is 24-7, but there may be negative consequences to defying our body's internal clock(トロント大学)
Delayed first active-phase meal, a breakfast-skipping model, led to increased body weight and shifted the circadian oscillation of the hepatic clock and lipid metabolism-related genes in rats fed a high-fat diet(PLOS ONE 2018年10月31日)
New clinical guideline to help clinicians treat circadian rhythm sleep-wake disorders(米国睡眠医学会)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
- 2025年05月01日
- 【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
- 2025年04月17日
- 【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
- 2025年04月14日
- 女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
- 2025年03月03日
- ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防