ニュース
野菜を3倍食べてもらう「野菜プロジェクト」 野菜の自産自消・地産自消も促進 飯能市の食育活動
2020年01月21日

埼玉県飯能市は、市民の野菜の摂取量を増やすため、関係機関や企業などの団体との連携・協働により、「野菜プロジェクト」を開始し、健康な地域環境づくりに取り組んでいる。「野菜摂取量日本一のまち」を目指しているという。
野菜を3倍食べて、健康寿命を延ばす
埼玉県飯能市が平成28年に実施した「健康づくり市民意識調査」によると、市民の野菜摂取量の平均は1人に199gで、とくに20~50歳代の働き盛り世代で野菜摂取量が189gと少ない。国が定めた1日の必要量である350gに満たない市民が8割以上に上る。
その結果、BMI(体格指数)が25以上の肥満の割合は平成28年には17.9%に増え、40~50歳代の男性では35.6%に上る。2型糖尿病の有病率も増えている。
「片手1杯に載る量が100g程度であり、1日あたり小鉢5~6皿分を摂取すれば350g相当となります。市民の皆さまの野菜摂取量を現在の3倍に増やすことで、1人あたり380gを超え、野菜摂取量日本一のまちとなります」と、市の産業環境部産業振興課では話している。
ライフステージによって食育活動は変わる
キャンペーンの一環として、1食あたり130g以上の野菜を使用した「野菜3倍メニュー」を設定するレストランを「野菜3倍レストラン」として登録しPRしている。「野菜3倍メニュー」を注文した人に、キッチン用品などを進呈する「野菜3倍レストラン」キャンペーンも、2月3日まで市内の21店舗で実施している。
地域で栽培された野菜を生かした創作メニューを募集し、地域の代表メニューを選定するための地域野菜グルメコンテストも開催した。
また、家庭・保育所・幼稚園・小中学校などで、食育キャンペーンを実施。「主食・主菜・副菜」という言葉やその意味を知っている市民の割合を、20~30歳代の男性で47.4%、女性で71.3%に引き上げた実績がある。食事で「主食・主菜・副菜」をほぼ毎日揃えている市民の割合は39.5%に上る。
市が2018年から実施している「第2次飯能市健康のまちづくり計画」では、市民への重点的な働きがけをライフステージによって分けている。幼少期には「野菜を食事に取り入れる習慣の確立」「野菜摂取に関する健康教育の充実」に力を入れ、成人期や更年期には「市民農園、家庭菜園などにおける自産自消、地産自消の促進」「野菜摂取量の増加に取り組む市のPR」にも力を入れる。
野菜に親しんでもらう制度を開始 「農のある暮らし」を支援
飯能市へは東京都心から1時間足らず。緑地が多く、農業は市の産業のひとつで野菜生産量も多い。
市では「農のある暮らし 飯能住まい」という制度を2016年度からスタート。市外からの希望者を助成し、良質でゆとりのある住まいを建てて移り住んでもらい、家庭菜園や市民農園などの「農」に親しむ暮らしをおくってもらうというもの。
「農のある暮らし」を支援するために、市は制度の利用者に対してさまざまな対策をしている。農業体験参加型、家庭菜園型、農園利用型、農地利用型の4つのプログラムを用意。野菜に親しんでもらうため、専門家や農業指導者の指導のもと、耕作放棄地などを有効活用するなど、家庭菜園での野菜づくりも推進している。
「健康のまちづくり計画」は、生産量を増やした野菜を、今度は市民の健康にも役立ててもらうというもので、「自産自消、地産自消」を重視している。
体を活発に使う野菜作りは、運動不足の解消にもつながり、一石二鳥だと言える。また、「飯能住まい」は、日本の地方で急速に進んでいる過疎化・高齢化への対策としても役立っている。
野菜3倍レストランキャンペーンを開催します!!(飯能市 2020年1月14日)野菜3倍レストラン 店舗一覧(飯能市 2019年11月15日)
"農のある暮らし"「飯能住まい」始めませんか(飯能市 2020年1月15日)
第2次飯能市健康のまちづくり計画(飯能市 2018年03月30日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
- 2025年05月01日
- 【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
- 2025年04月17日
- 【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
- 2025年04月14日
- 女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
- 2025年03月03日
- ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防