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日本初の高血圧治療アプリの治験を開始 「高血圧を自分で治す」が目標 食事や運動などの行動改善を促す
2020年02月05日
自治医科大学などは、日本初の高血圧治療アプリの第3相臨床試験を開始した。同アプリは、個々の患者の生活に密着して生活習慣の改善を促すというもの。
血圧コントロールの達成率が30%と伸び悩んでいる日本で、デジタルテクノロジーを用いた新たな治療アプローチにより、「高血圧を自分で治す」治療の実現を目指すという。
血圧コントロールの達成率が30%と伸び悩んでいる日本で、デジタルテクノロジーを用いた新たな治療アプローチにより、「高血圧を自分で治す」治療の実現を目指すという。
「高血圧を自分で治す」ためのアプリを開発
患者の意識・行動変容を促す
今回の治験では、モバイルテクノロジーを活用した新しい治療法である「治療アプリ」によって、医学的エビデンスにもとづく個別化・最適化された治療ガイダンスを患者に提供し、意識・行動変容を促すことで、正しい生活習慣を獲得し、高血圧の状態から脱してもらうことを目指す。
使用される高血圧治療アプリは、IoT血圧計を用いた血圧モニタリングと、生活習慣ログなどのデータから、個人の血圧特性と生活習慣を自動分析し、最適な治療ガイダンス(食事、運動、睡眠などに関する知識や行動改善を促すための情報)を提供する。
「治療アプリ」の有効性と安全性を評価
同試験では、降圧薬による内服治療を受けていない本態性高血圧症の患者を対象に「治療アプリ」の有効性と安全性を評価する。「高血圧治療ガイドライン2019、にそった生活習慣の修正に加え、「治療アプリ」を使用する群と、ガイドラインに沿った生活習慣の修正のみを行う群の2群に分け比較検討する。
主要評価項目は、治療開始後12週時点における自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間の収縮期(最高)血圧の平均値のベースラインからの変化量。ABPMは、ふだん通りの生活をしながら24時間一定間隔で継続的に血圧を測定する検査。血圧はさまざまな要因で上下するが、血圧の日内変動(1日の変動パターン)を知ることができる。
患者と医師が双方向的に情報交換
自治医科大学内科学講座循環器内科学部門の苅尾七臣教授は「治療アプリ」について、「認知行動療法の視点を取り入れ行動変容を促すことで、血圧低下に直接つながる生活習慣の改善を徹底支援する、世界初の高血圧治療アプリです。精緻な治療プログラムと情報通信テクノロジーにより、患者ごとに個別評価し、科学的根拠が証明された適切なガイダンスや患者の行動記録を介して、患者と医師が双方向性の確かな情報交換を行います」と述べている。
「高血圧治療アプリ」が保険診療の中で普及することで、高血圧の重症化予防や心血管疾患の抑制につながると期待している。今回の治験を経て、薬事承認・保険適用を目指しているという。
「院外・在宅でも正しい医療ガイダンスが受けられる"治療アプリ"により、これまで頻繁に受診しにくかった働き盛りの人々や遠隔地の人々にも、質の高いパーソナライズド(個別化)医療を提供することが可能になります」と、CureAppの代表取締役社長で医師でもある佐竹晃太氏は述べている。
「アプリで病気を治療する」という発想
CureAppは、ソフトウェア技術と医学的エビデンスにもとづいた疾患治療用プログラム医療機器の研究開発から製造まで行うスタートアップ企業。「アプリで病気を治療する」という新しい医療サービスの実現を目指している。
同社の「治療アプリ」は、患者ごとの日々の治療経過をもとにアプリが解析し、ガイダンスを行うことにより、新しい治療効果を生み出すというもの。意識・行動の変容から習慣レベルの改善を促すことで、疾病の改善を期待できるという。
アプリで目指しているのは、臨床試験などにより治療効果を明らかにし、医療機器として承認を受けて実用化すること。同社は国内でいち早く臨床試験を開始した。第1弾となる「ニコチン依存症治療用アプリ」は慶應義塾大学と共同開発したもので、すでに治験を完了し現在は薬事申請中。東京大学と共同開発したNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリも2018年より多施設での臨床試験を開始した。そのほか疾病への開発・臨床研究を実施している。
自治医科大学内科学講座循環器内科学部門CureApp
高血圧治療アプリ
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