ニュース

【新型コロナウイルス感染症】高齢者が気を付けるべきポイントは 日本老年医学会がアドバイス

 新型コロナ ウイルス(COVID-19)感染症が拡大する中、先の見えない自粛生活が社会に広がっており、「動かないこと(生活不活発)」が増えている。
 日本老年医学会は高齢者向けに、フレイル(虚弱)を防止するためのアドバイスを公表した。
動かない時間を減らし、自宅でも運動を
 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が拡大する中、感染予防のため外出を控える人が増えたり、リモートワークを導入する企業が増えるなど、先の見えない自粛生活による不活動が社会に広がっている。

 こうした中、日本老年医学会は、高齢者の「動かないこと(生活不活発)」への注意を呼びかけるポスターの公開を公式サイトで開始した。生活不活発のためにフレイルが進むことに警鐘を鳴らしている。

 高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態は「フレイル」と呼ばれ、要介護予備群として注目されている。フレイルの段階で、食事や運動などで適切な対応を行えば、要介護となるのを防止でき、健康寿命を延ばせる。

 日本老年医学会では下記のように述べている――。
 型コロナウイルス感染症は、高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある方は重症化しやすいことが明らかになっています。
 自分自身を守るために手洗いを中心とする感染予防が必要です。また、人が多く集まる場所を避けることなどが言われており、家に閉じこもりがちになりますが、高齢者にとっては合わせて生活不活発による健康への影響が危惧されます。
 生活不活発により、フレイル(虚弱)が進み、心身や脳の機能が低下していきます。
 動かない時間を減らし、自宅でもできるちょっとした運動でフレイルを予防しましょう。
生活不活発になると身体や頭の動きが低下
 ずっと家に閉じこもり、一日中テレビを見ていたり、ぼ~っとしていたり食事もたまに抜かしてしまう、誰かと話すことも少ない・・・こうした日々が続くと、フレイルが進みやすくなる。

 フレイルになると、体の回復力や抵抗力が低下し、疲れやすさが改善しにくくなる。歩くことや身の回りのことなど生活動作が行いにくくなり、インフルエンザなどの感染症も重症化しやすい傾向にある。

 2週間の寝たきりにより失う筋肉量は7年間に失われる量に匹敵するとも言われる。フレイルを予防し、抵抗力を下げないように注意することが必要だ。

 同学会がアドバイスする生活不活発への対策は以下の通り――。

● 座っている時間を減らしましょう
 その分、立ったり歩いたりする時間を増やすことも重要。テレビのコマーシャル中に足踏みしてみるなど身体を動かそう。

● 筋肉を維持しましょう
 関節も固くならないように気を付けてラジオ体操のような自宅でできる運動でも、筋肉の衰え予防に役立つ。スクワットなど足腰の筋肉を強めるレジスタンス運動も有効だ。

● 日の当たるところで散歩くらいの運動を心掛けましょう
 天気が良ければ、屋外など開放された場所で身体を動かそう。散歩はお勧めだ。ただし、人混みは避けよう。

● こんな時こそ、しっかりバランス良く食べましょう
 多様性に富んだ食事を3食欠かさず食べることを意識する。しっかりバランス良く食べて栄養をとり、身体の調子を整えよう。免疫力を維持することにも役立つ。さらに身体(とくに筋肉)を作る大切な栄養素であるタンパク質をしっかりとることが大切だ。
※食事の制限を受けている人はかかりつけ医の指示に従ってください。

● 毎食後、寝る前に歯を磨きましょう
 お口を清潔に保つことが、インフルエンザなどの感染症予防に有効。毎食後、寝る前の歯磨きを徹底しよう。義歯の清掃もとても大切だ。

● お口周りの筋肉を保ちましょう
 お口の不活動も問題になる。おしゃべりも大切だ。一日3食、しっかり噛んで食べよう。噛める人は意識して少し歯ごたえのある食材を選ぶことも大切。自粛生活で人と話す機会が減り、お口の力が衰えることも。電話も活用し、意識して会話を増やそう。鼻歌を歌う、早口言葉もお勧めだ。

● 孤独を防ぐ
 近くにいる者同士や電話などを利用した交流を高齢者では人との交流はとても大切。外出しにくい今の状況こそ、家族や友人が互いに支え合い、意識して交流しよう。ちょっとした挨拶や会話も大切。新型コロナウイルス感染症に関する正しい最新情報の共有も、トラブルや不安の解消にもつながる。

● 買い物や生活の支援
 困ったときの支え合いを食材や生活用品の買い物、病院への移動などに困った際に、助けを呼べる相手をあらかじめ考えておこう。事前に話し合っておくことが大切。

一般社団法人日本老年医学会

厚労省が「全国クラスターマップ」を公表

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、厚生労働省は「全国クラスターマップ」を作成して公開をはじめた。

 新型コロナウイルス感染症について、政府は自治体などに水際での対策の強化を要請している。

 現時点では、大規模な感染拡大が認められている地域はないが、複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模の患者クラスター(集団)が把握されている状態になっている。

 政府は「感染の流行を早期に終息させるためには、クラスター(集団)が次のクラスター(集団)を生み出すことを防止することが極めて重要」と強調。

 「全国クラスターマップ」では、3月17日時点で、8都道府県13ヵ所が記されている。

[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
2025年05月01日
【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
2025年04月17日
【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
2025年04月14日
女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
2025年03月03日
ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶