ニュース
健康診断でパーキンソン病・認知症のリスクが分かる 健診で早期発見・予防できる可能性が
2020年03月25日

名古屋大学などの研究グループが、健康診断の受診データから、パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)を合わせた「レビー小体病」のリスクの高い受診者をみつける方法を開発したと発表した。2つ以上の前駆症状を有する50歳以上の受診者の5.7%に高リスク者が存在するという。
パーキンソン病・認知症を早期発見するための検査が必要
パーキンソン病の国内患者数は20万人で、動作緩慢などの運動障害と認知機能障害があらわれる。また、レビー小体型認知症の国内患者数は、60~90万人程度と推定されるアルツハイマー型認知症に次いで多く、幻視などの認知機能障害とパーキンソン病に似た症状があられる。
それらを合わせた「レビー小体病」は、異常タンパク質(αシヌクレイン)が脳の神経細胞内に蓄積することが特徴となる、難治性の神経変性疾患だ。
治療薬も使われているが、たとえばパーキンソン病は発症後数年は良好にコントロールできても、その後は運動障害が高度になることが知られている。その原因は、神経症状の発症時にすでに神経変性が進行していることなどだ。発症時にすでに50%以上のドーパミンの神経細胞が死滅していることが知られている。
「レビー小体病」を早期発見して、治療を開始することが重要となる。そのために、効果的な検査法が求められている。

健康診断で早期発見 50歳以上の受診者の5.7%がハイリスク


健診で早期発見し先制治療につなげるのが目標
「レビー小体病の自覚症状がない人は医療機関を受診しないため、通常診療でハイリスク者をみつけるのは困難ですが、健康診断制度と連携したレジストリを活用すれば、神変性疾患・認知症のリスク評価が可能になります」と、研究グループは述べている。
研究グループは今後は、前駆期のレビー小体病の患者に対して、疾患の発症を遅らせる先制治療につなげる研究をはじめる予定だ。
研究は、名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授、服部誠客員研究員、国立長寿医療研究センターの鷲見幸彦病院長らの研究グループによるもの。研究成果は米医学誌「Journal of Neurology」に掲載された。
名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学国立長寿医療研究センター
Subjects at risk of Parkinson's disease in health checkup examinees: crosssectional analysis of baseline data of NaT-PROBE study(Journal of Neurology 2020年2月7日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
- 2025年02月10日
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 2025年01月23日
- 高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
- 2025年01月14日
- 特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
- 2025年01月06日
-
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」 - 2024年12月24日
-
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~ - 2024年12月17日
-
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ