ニュース

野菜を食べると体重が減りやすい 日本人5万人超を調査 果物の食べ過ぎには注意

 野菜の1日の摂取量が増えると、体重が減ることが、日本人5万人超を対象とした調査で明らかになった。とくに、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜が効果が高いという。
 一方、果物の摂取量が増えると、体重はむしろ増えやすいことも分かった。
野菜・果物を多く食べると体重にどんな変化があるか
 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 研究グループは、1990年と1993年に、岩手、秋田、東京、長野、沖縄、茨城、新潟、大阪、高知、長崎の11保健所管内に在住していた40~69歳の男女を対象に、研究開始から5年後と10年後に食事アンケート調査を実施した。

 5年後調査時にがんや糖尿病、高血圧、高脂血症、循環器疾患になっていなかった5万4,015人(平均年齢 56.5歳)を対象に、5年間の野菜・果物の摂取量の変化と、体重変化との関係を調べた。

 野菜・果物には食物繊維・ポリフェノール・水分などが豊富に含まれる。野菜・果物を多く食べることで、空腹感の減少、エネルギー摂取量の減少、脂質やエネルギー代謝の調整などにつながり、体重をコントロールしやすくなると考えられている。

 しかし、野菜や果物の摂取量を増やすことで、実際に体重を減らせるかを、日本人を対象に確かめた研究は少ない。そこで、研究グループは日本人を対象に、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、体重変化との関連を調べた。

 調査した野菜・果物の種類は以下の通り――。
野菜(29種類)
緑色野菜(5種類)ほうれん草、春菊、ピーマン、ヨモギ、さやいんげん
黄・赤色野菜(4種類)にんじん、かぼちゃ、トマト、トマトジュース
アブラナ科野菜(11種類)キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、チンゲンサイ、からし菜、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー
ネギ類野菜(2種類)玉ねぎ、にら
その他(7種類)きゅうりの漬物、ナスの漬物、きゅうり、レタス、もやし、ゴーヤ、へちま
果物(17種類)
柑橘類(3種類)みかん、みかん以外の柑橘類(はっさく・いよかん・オレンジ)、100%オレンジジュース
柑橘類以外の果物(14種類)メロン、スイカ、りんご、100%リンゴジュース、なし、もも、梅干し、かき、イチゴ、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイヤ
野菜摂取量が1日100g増えると体重は減少
 その結果、野菜の5年間の摂取量が1日に100g増加するごとに、体重が25g減少していたことが分かった。とくに、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜は、1日に100g増加するごとに、体重が74g、129gそれぞれ減少した。

野菜の摂取量が1日に100g増えると体重は変化する
出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年

 果物については、摂取量が1日に100g増加するごとに、体重が70g増加したが、摂取量が減少すると体重は変わらなかった。また、5年間に果物の摂取量が増加したグループでは、摂取量が1日に100g増加するごとに体重が70g増加していたが、摂取量が減少したグループでは体重は変わらなかった。

果物の摂取量が増えると体重はむしろ増える
出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年
日本人にとっても野菜はメリットが多い
 今回の研究では、野菜の摂取量が増えると、体重が減少することが示された。その理由の1つとして、野菜は食事と一緒に摂取するため、その摂取量が多いと、ご飯や他のおかずの摂取量が減り、全体のエネルギー摂取量が減りやすくなる可能性が考えられる。

 一方、果物の摂取量が増えると体重が増加していた。果物は間食として食べることが多く、その摂取量が増えると食事全体のエネルギー摂取量が増加する可能性がある。

 野菜には食物繊維・ポリフェノール・水分などが含まれる。野菜を食べることで、空腹感の減少、エネルギー摂取量の減少、糖質の吸収をゆるやかにすると考えられている。

 食物繊維が豊富に含まれる野菜を食事に取り入れることで、食べ過ぎを防いで肥満予防につながり、血糖コントロールも改善しやすくなる。また、脂質やコレステロールなどの吸収を抑えることで動脈硬化を予防し、その結果として心筋梗塞や脳卒中などを予防することが期待できる。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Associations Between Changes in Fruit and Vegetable Consumption and Weight Change in Japanese Adults(European Journal of Nutrition 2020年4月6日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月18日
人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月18日
健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月09日
子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
2024年04月08日
【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
2024年03月18日
メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万⼈のビッグデータを解析 新潟⼤学
2024年03月11日
肥満は日本人でも脳梗塞や脳出血のリスクを高める 脳出血は肥満とやせでの両方で増加 約9万人を調査
2024年03月05日
【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
2024年02月26日
近くの「検体測定室」で糖尿病チェック PHRアプリでデータ連携 保健指導のフォローアップなどへの活用も
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶