ニュース

【新型コロナウイルス】心理的不安が予防行動に大きく影響 個人差に合わせた対策とケアが必要

 九州大学は、新型コロナウイルス感染症により市民の予防行動・心理状態にどのような変化があらわれたかを、その性格因子との関係により解析した。
 その結果、予防行動や心理状態には、性格による大きな個人差があり、個人差に配慮した感染症対策と心理的ケアが必要なことが示された。
感染対策や心理的ケア対策の立案の重要な判断材料になる可能性
 九州大学による今回の研究は、日本での新型コロナウイルス感染症流行下の、心理・行動と性格・道徳の関連性を系統的に調べた最初のものになる。

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言発出後の2020年4月8日に、オンライン調査を実施し、日本全国から1,856名の有効回答を集めた。

 その結果、主に次のことが明らかになった――。

● 神経質傾向が強い人ほど、予防行動レベルが高く、一方でストレス・不安・抑うつスコアが高く、他人の努力への評価や医者への信頼度が低い。

● 勤勉性傾向が強い人は、予防行動レベルが高いが、感染リスク、他人の努力、自身の仕事への影響を低く評価する傾向がある。

● 協調性傾向が強い人は、ストレス・不安スコアが低く、生存の確信、他人への評価が高い傾向がある。

 以上の結果から、予防行動や心理状態には性格による大きな個人差があり、個人差に配慮した感染症対策と心理的ケアが必要なことが示された。

 研究ではさらに、下図に示す多くの項目について調査し、性格・道徳・イデオロギーが回答者の心理状態・評価・健康状態・生活への影響などと複雑に関係していることが明らかになった。

個人の心理・行動と性格・道徳がコロナ対策の行動に大きく影響
出典:九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター、2020年

 「誰もが初めて経験する今回のコロナ禍、いまだに世界範囲で流行し、多くの人に災難をもたらしています」と、研究者は述べている。

 「正しく恐れて、適切な行動に導くためには、人間の心理の役割が重要です。"Calm(冷静に)、Careful(注意しながら)、Confident(自信をもって)"。これは研究を通じて、心理学の立場から提案するコロナ対策の3Cです。冷静に判断し、慎重に行動し、自信を保つこと。コロナとの長期戦に備えて、心を整えましょう」としている。

 オンライン調査は、その後も週1回の頻度で継続され、6月中旬までに計10回実施された。研究グループは現在、10回分の時系列データをもとに、市民の精神的負担・予防行動や意識・生活への影響などが、10週間にどのように変化したかを分析中。

 研究は、九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの錢琨助教と同大学院理学研究院矢原徹一学術研究員(名誉教授)によるもの。研究の詳細は、国際学術誌「PLOS ONE」に掲載された。

九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター
Mentality and behavior in COVID-19 emergency status in Japan: Influence of personality, morality and ideology(PLOS ONE 2020年7月10日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶