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ローヤルゼリーから骨量の減少を抑制する脂肪酸を発見 骨粗鬆症の新たな治療法につながる可能性

 ローヤルゼリーに含まれる脂肪酸に骨破壊を抑制する働きがあることを、東京医科歯科大学などの研究グループが発見した。
 閉経後の骨粗鬆症などの骨破壊をともなう骨疾患の新たな治療法や、骨健康を増進する機能性食品の開発につながる可能性がある。
ローヤルゼリーが骨量の維持に効果的
 東京医科歯科大学などの研究グループは、ローヤルゼリーの主な脂肪酸である「10-ヒドロキシ-2-デセン酸」(10H2DA)に、骨破壊を抑制する働きがあることを発見した。

 ローヤルゼリーは、ミツバチの働き蜂が蜂蜜や花粉を食べ、その体内で合成し、咽頭腺、大腮腺から分泌される乳白色のクリーム状の物質。女王蜂やその幼虫に必須な特別食物で、タンパク質が多いほか、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなどが多彩な成分が含まれている。

 10H2DAは、ローヤルゼリーの脂質成分の半数を占める中鎖脂肪酸。ローヤルゼリーの薬理活性をになっており、これまでも抗腫瘍、抗菌、免疫調節の効果などが報告されている。

 ローヤルゼリーには古来より、抗炎症、血圧改善、肥満予防などさまざまな健康増進の効果があることが知られており、さまざまな特徴的な機能性分子が含まれていると考えられている。

 これまでに、ローヤルゼリーの摂取が骨量の維持に有意な効果をもたらすことが報告されていたが、その機能性分子や作用メカニズムはよく分かっていなかった。
ローヤルゼリーの機能性分子が中鎖脂肪酸であることを発見
 骨がになっている役割は多く、身体を支えるのに加え、運動機能を実現し、脳や内臓の保護や、造血や免疫細胞を育てる作用もある。また、骨には生命維持に必須なカルシウムを貯蔵する働きもある。

 変化のないように見える骨は、常に新しく生まれ変わっており、古い骨を破骨細胞が破壊し、骨芽細胞が新しい骨で充填することで、その恒常性を保っている。

 こうした骨のコントロールは「骨リモデリング」と呼ばれ、このバランスが破綻すると、骨の健康を損ない、骨粗鬆症などの骨疾患を発症してしまう。

 研究グループは今回の研究で、ローヤルゼリーに含まれる中鎖脂肪酸である10H2DAが、ローヤルゼリーの機能性分子であることを世界に先駆け発見した。さらに、脂肪酸受容体であるFFAR4を介してNF-KBシグナルを抑制し、破骨細胞分化を抑制するという分子メカニズムを明らかにした。

 研究成果は、高齢化社会で大きな問題になっている骨粗鬆症など病的な骨破壊をともなう骨疾患の、新たな治療法の開発へとつながることが期待される。

 「ローヤルゼリーはすでに安全性が確立され、サプリメントや機能性食品として世界中で利用されています。今後は骨健康の維持や増進に効果的に利用するために、科学的なエビデンスを積み重ねていく必要があります」と、研究グループは述べている。
閉経でエストロゲンが欠乏すると骨粗鬆症を発症
ローヤルゼリーに含まれる脂肪酸「10H2DA」による破骨細胞の分化抑制メカニズム
出典:東京医科歯科大学、2020年

 研究グループは今回の研究で、まず運動機能の低下や介護の病因となる閉経後骨粗鬆症のモデルマウスで実験を行った。卵巣を摘出したマウスに、ローヤルゼリーを経口で投与し、骨量をマイクロCTで観察した。

 卵巣を摘出したマウスでは、女性ホルモンでるエストロゲンが欠乏し骨粗鬆症を発症する。しかし、ローヤルゼリーを摂取したマウスは、この骨量減少が有意に抑制されていた。

 ローヤルゼリーの骨量減少の抑制効果を明らかにするため、骨の構成細胞の状態を骨形態計測法で解析したところ、破骨細胞の分化や機能の亢進が抑制されていることが分かり、骨芽細胞や骨形成に変化がないことも分かった。

 このことから、エストロゲン欠乏による破骨細胞の分化や機能の亢進に対して、ローヤルゼリーが抑制的に作用し、骨量減少が改善することが生体レベルで示された。

 次に、ローヤルゼリーによる細胞レベルでの効果を調べるため、破骨細胞の分化誘導系にローヤルゼリーを作用させたところ、濃度依存的に破骨細胞の分化が抑制されることが分かった。

 これにより、ローヤルゼリーに、破骨細胞に対して抑制的に働く機能性分子が含まれていることが明らかになった。
ローヤルゼリーが骨量減少を抑制 分子メカニズムを解明
 研究グループは、骨粗鬆症のマウスに、化合物の分析をするシリカゲルクロマトグラフィーやLC-MS/MSなどを手法を使い、ローヤルゼリーの成分分画化と破骨細胞の分化誘導、骨破壊能の実験系を試みた。

 その結果、脂肪酸である10H2DAが、破骨細胞分化と骨破壊に抑制的に作用することを明らかにした。さらに、10H2DAを服用させた骨粗鬆症のマウスでは、ローヤルゼリーの服用と同様に、破骨細胞の異常な活性化が抑制されることも生体レベルで確かめた。

 10H2DAによる骨破壊の抑制メカニズムを明らかにするため、破骨細胞の遺伝子発現プロファイリングを調べ、遊離脂肪酸の受容体である「FFAR4」に着目。10H2DAがFFAR4を活性化することを確認した。

 さらに、ローヤルゼリーの脂肪酸である10H2DAが、細胞の機能や増殖などを決定する転写因子である「NF-KB」のシグナル伝達を抑制することで、破骨細胞分化を抑制することを突き止めた。

 研究は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野の中島友紀教授、林幹人助教、同大学院歯周病学分野の岩田隆紀教授、土谷洋輔大学院生らの研究グループが、富山県立大学、森川健康堂との共同で行ったもの。研究の詳細は科学誌「Journal of Biological Chemistry」オンライン版に掲載された。

 この研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業さきがけ「生体における動的恒常性維持・変容機構の解明と制御」(研究総括:春日雅人)における研究課題「運動器の動的恒常性を司るロコモ・サーキットの解明」(代表者:中島友紀)、日本医療研究開発機構(AMED) 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST) 「メカノバイオロジー機構の解明による革新的医療技術の創出」(研究開発総括:曽我部正博)研究開発領域における研究開発課題「骨恒常性を司る骨細胞のメカノ・カスケードの解明」(研究開発代表者:中島友紀)、文部科学省・科学研究費補助金、セコム科学技術振興財団、武田科学振興財団などの支援のもとで行われた。

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野
The key royal jelly component 10-hydroxy-2-decenoic acid protects against bone loss via FFAR4(Journal of Biological Chemistry 2020年7月9日)
[Terahata]

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