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【新型コロナ】「新宿歌舞伎町のホストクラブで感染拡大」は本当か? 従業員対象の実態調査 国立感染研が中間報告
2021年01月05日
国立感染症研究所は、新宿歌舞伎町の、「接待をともなう飲食店」であるいわゆる「ホストクラブ」店舗での、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスクに関する調査研究の中間報告を公表した。
いわゆる「ホストクラブ」は、密着・密集・密閉の「3密」が起こりやすい業種だ。今回の調査では、店舗従業員のおよそ半数がCOVID-19に感染していたことが分かった。
ほとんどの店舗では一般的な感染防止策を行っていたが、風営法による店舗構造により換気が難しいことや、客に対策を実施してもらうのが困難など、感染症対策の難しさが浮き彫りになった。
いわゆる「ホストクラブ」は、密着・密集・密閉の「3密」が起こりやすい業種だ。今回の調査では、店舗従業員のおよそ半数がCOVID-19に感染していたことが分かった。
ほとんどの店舗では一般的な感染防止策を行っていたが、風営法による店舗構造により換気が難しいことや、客に対策を実施してもらうのが困難など、感染症対策の難しさが浮き彫りになった。
ホストクラブでのクラスター発生 実態を調査
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行では、「接待をともなう飲食店」(ホストクラブ店舗)などでの患者発生やクラスター発生が起こった。これらの感染の規模や、従業員などが感染するリスクを知ることは、経済的・社会的活動と流行抑制を両立させるために重要だ。
そこで、国立感染症研究所は、ホストクラブ店舗を中心に、インタビューやアンケート、店舗観察による疫学情報に加え、ウイルス検出・抗体検査による感染の情報を組み合わせ、感染リスクの高いとみられる集団での現状を明らかにすることを目的に研究調査を行った。
対象となったのは、2020年7月以降に、東京都新宿区歌舞伎町で協力の申し出があったホストクラブ店舗およびそれらの店舗の20歳以上の従業員。
各店舗の観察調査、代表者へのインタビュー、従業員へのアンケートおよび新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する唾液を用いたPCR検査と血清抗体検査(ロシュ・ダイアグノスティックス社のElecsys Anti-SARS-CoV-2を使用)を実施した。
アンケートおよびPCR検査・抗体検査は、約1ヵ月おきに複数回実施している(10月20日時点で継続中)。また、歌舞伎町全体(ホストクラブ以外の業種を含む)の接待をともなう飲食業の感染対策状況や感染対策などの意識把握のために、ホストクラブグループ代表者、キャバクラ店舗幹部などへのインタビューも実施した。
店舗の従業員のうち半数近くが新型コロナに感染
調査結果の記述を行い、既知の感染リスクなどの有無について検討した。今回公表された調査結果は、アンケート記載の従業員個人の行動については、陽性者発生直前の感染拡大リスクを把握するために5月以降、店舗内で陽性者が探知されるまでの期間(いずれも6月下旬~7月中旬)での状況とした。
10月20日時点で、調査への協力があったのは4店舗68人だった。3店舗は3回目、1店舗は2回目までの調査時点で検査した結果、いずれの店舗も、調査開始以前に従業員が感染していたことが分かった。
感染者は全体で31人(46%)だった。また、今回の調査を通じてはじめて感染が判明した者(いずれも抗体検査で陽性が判明)が7人(10%)いた。感染者31人のうち、有症者は26人(84%)だった。
関連情報
接客中75%以上の時間でマスク着用が62% 体調確認も74%
従業員アンケートでは、年齢中央値は26歳(20~47歳)、新宿区内居住が46人(68%)、借上寮居住者が28人(41%)、同居者ありが32人(47%)だった。
店舗内での感染対策状況は、接客中75%以上の時間でマスク着用していた者が62%、出勤前の検温や体調確認をしていた者が74%、客のマスク着用頻度が50%未満と答えた者が57%だった。
店舗外の行動は、75%以上の時間でマスクを着用していた者が75%、客との同伴出勤やアフター(店舗営業終了後に従業員と客とが飲食などをともにすること)が週に1回以上あった者が50%、他の「ホストクラブ」に週に1回以上行った者が1%、自店舗以外の人が密集する場所に週1回以上出かけた者が16%いた。
酔いの程度は、勤務中(19~2時くらい)、アフターの時間帯(2~5時くらい)、朝(5~10時くらい)のそれぞれの時間帯で飲酒をする者のうち、泥酔または酩酊となる者がそれぞれ21%、33%、30%だった。
できるかぎりの感染対策をするも、店舗構造により換気が難しい
いわゆる「ホストクラブ」は、密着・密集・密閉の「3密」が起こりやすい業種だ。
調査の結果、今回調査した4店舗では、調査時点で従業員の感染者の割合が40~52%と高かった。また、新たに過去の感染が判明した者(PCR検査受診の有無を問わず)が10%に上り、いずれも過去に発症していたことが分かり、探知されていなかった者を含め、店舗従業員の多くが感染していたことが分かった。
今回の店舗は、いずれも複数の感染者が発生しているものの、発生前からほとんどの店舗では一般的な感染防止策として、「マスク着用」「入店時の手指衛生」「共用物品や設備の消毒」「入店時の体調チェック」「有症状時の出勤停止の徹底」「一度に滞在する客数の制限」「回し飲みやシャンパンコール、イベントの自粛」「可能な限りの換気」など、できるかぎりの対策を行っており、従業員も店舗の方針にしたがっていた。
一方で、体調チェックの記録がない、不適切な消毒薬の使用(次亜塩素酸水は管理や使用方法の制限が大きいので、アルコールが推奨されている)、換気の難しさ、客に感染症対策を実施してもらうことの難しさなども明らかになった。
とくに換気については、風俗営業などの規制および業務の適正化などに関する法律により、店舗構造では「客室の内部が外部から容易に見通すことができないもの」とされていることもあり、窓がない、開けられないなど、換気が難しい構造になっていることが多い。
客の感染症対策の周知と協力も必要
さらには、客のマスク着用率の低さや、深夜帯やアフター時の酔いにともなう感染症対策への意識が低下している可能性もみられた。なお、今回の調査では利用客へのインタビューや検査などは実施できていない。
今回のインタビューで得た歌舞伎町などの店舗での感染症対策の取り組み状況からみると、対象となった店舗は感染対策に比較的熱心に取り組んでおり、いわゆる優良店と考えられるという。
「新宿区をはじめ、地域ではさまざまな工夫をしながら多くの店舗に対して感染症対策への協力をお願いしており、歌舞伎町地域として感染症対策の底上げを図っている。今回の調査では、これらに加えて、地域や店舗を訪れる客への感染症対策の周知と協力、また従業員個人の店舗外での(客として店舗を訪れる際の)行動への啓発などが重要であることが分かりました」と、感染症研究所では述べている。
国立感染症研究所 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報
繁華街の感染拡大防止対策(新宿区)
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