ニュース

【新型コロナ】ウォーキングなどの運動をしている人は重症化しにくい 運動不足の人は高リスク 運動習慣は大切

 ウォーキングなどの運動や身体活動を習慣として行っていた人は、新型コロナを発症して重症化するリスクが低かったことが、約20万人を対象とした調査で明らかになった。

 45歳以上の成人約6万人を対象とした別の調査でも、運動習慣があり、身体活動のレベルの高い人は、新型コロナの発症と入院のリスクが低いことが示された。

 「どんな運動であっても、たとえ短い時間しか行えないという場合でも、運動をする習慣を身につけることは重要です」と、研究者は指摘している。

運動習慣のある人は新型コロナの重症化リスクが低い

 新型コロナに感染する前に、ウォーキングなどの運動や身体活動を習慣として行っていた人は、新型コロナを発症して重症化するリスクが低かったことが、約20万人の成人の電子健康記録(EHR)を分析した研究で明らかになっている。

 研究は、米国の大手の医療保険団体であるカイザー パーマネンテによるもの。研究成果は、「American Journal of Preventive Medicine」に掲載された。

 患者が糖尿病などの慢性疾患をもっているかに関係なく、運動習慣のある人はそうでない人に比べ、新型コロナの有害転帰のリスクが低く、さらにはより多くの運動を行った人は、重症度はさらに低下する傾向が示された。

 「どんな運動であっても、たとえ短い時間しか行えないという場合でも、運動をする習慣を身につけることは重要です」と、同団体の研究評価局行動研究部門のデボラ ローム ヤング氏は言う。

運動をしている人は新型コロナの死亡リスクが4分の1に低下

 研究グループが、新型コロナに感染して発症した成人19万4,191人の、2020年1月~2021年5月のEHRを調べたところ、6.3%の患者は入院し、3.1%は症状が悪化し、2.8%は診断から90日以内に死亡したことが分かった。

 解析した結果、身体活動レベルが低く運動不足の人は、運動に習慣的に取り組んでいた人に比べ、入院のリスクは91%高く、重症化するリスクは139%高く、死亡するリスクは291%高かった。

 「運動を習慣として行っている人は、新型コロナが重症化するリスクが低く、死亡するリスクも低いことが分かりました。運動量が高まるほど、この傾向は強まります」と、ヤング氏は言う。

 運動量の増加は、高血圧、糖尿病、心血管疾患、肥満などの慢性疾患のある患者の入院率や死亡率の低下にも関連していた。これらの疾患は、新型コロナの予後不良のリスク上昇と関連していることが知られている。

 「調査結果は、新型コロナのワクチン接種を受け、運動や身体活動を増やして、体を活発に動かすことが、新型コロナの重篤な転帰を防ぐために、もっとも重要であることを示しています」としている。

とくに女性は運動により得られる恩恵が大きい

 ウォーキングなどの運動をする習慣があり、身体活動のレベルの高い人は、新型コロナの発症と入院のリスクが低いという調査結果を、米国のブリガム アンド ウィメンズ病院も発表した。研究成果は、「JAMA Network Open」に掲載された。

 運動ガイドラインで推奨されている量の運動をこなしている人は、そうでない人に比べ、新型コロナの診断が10%減少し、入院リスクは27%低くかった。とくに女性では、運動をする習慣により得られる恩恵は大きいという。

 研究は、進行中の3つの前向きコホート試験(COSMOS、VITAL、WHS)の2020年5月~2022年5月のデータを解析したもので、対象となったのは、45歳以上の成人6万1,557人。

 「運動や身体活動を行う習慣をもつことは、新型コロナによる入院と重症化を予防するために重要です。運動をすることで、より広範囲に免疫機能を強化でき、感染症に対する脆弱性も軽減できると考えられます」と、同病院の予防医学部門のハワード セッソ氏は言う。

 研究グループは、新型コロナのパンデミックが影響している、社会的つながりの減少や、うつ病の増加が、運動・身体活動によりどれくらい改善できるかも調査する予定としている。

More exercise linked to less-severe COVID-19 outcomes (カイザー パーマネンテ 2022年12月15日)
Associations of Physical Inactivity and COVID-19 Outcomes Among Subgroups (American Journal of Preventive Medicine 2022年12月15日)
Study Finds High Levels of Physical Activity Lowered Risk of Developing COVID-19 Infection and Hospitalization (ブリガム アンド ウィメンズ病院 2024年2月13日)
Study: Older US adults who exercised prepandemic at lower risk of COVID infection, hospitalization Mary Van Beusekom (ミネソタ大学 2024年2月14日)
Prepandemic Physical Activity and Risk of COVID-19 Diagnosis and Hospitalization in Older Adults (JAMA Network Open 2024年2月13日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶