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掃除や買い物などの家事も立派な運動? 4時間以上体を動かすと死亡リスクは大幅減少 座位時間を中断して体を動かす習慣を

 活発なウォーキングやランニングだけが、健康増進に効果のある方法ではなく、掃除、料理、買い物などの家事も立派な運動になるという研究が発表された。

 家事をする時間をつくり、体をこまめに動かすことを心がければ、座りっぱなしの時間を減らすことができる。

 立ち上がって、短い時間でも体を動かすようにすると、健康リスクを抑えられることが、大規模な調査でも明らかになっている。

少しでも多く体を動かすことを推奨

 仕事では長時間のデスクワーク、自宅ではテレビやネットをずっと見ている・・・。現代人は、1日の大半を座って過ごしている。

 長時間座っている生活スタイルは、健康に害を及ぼすことが知られている。肥満・2型糖尿病・がん・心血管疾患・うつ病などのリスクが上昇し、寿命が縮まる可能性がある。

 日本人は、1日に座っている時間が世界で一番長いという調査結果もある。厚生労働省の検討会による「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」でも、座位行動について「じっとしている時間が長くなりすぎないように少しでも身体を動かすことを推奨します」とされている。

家事も立派な運動になる?

 家事をする時間をつくり、体をこまめに動かすことを心がければ、座りっぱなしの時間を減らすことができる。

 しかし、家事などの軽めの身体活動は、健康増進のための運動になるのだろうか?

 調査会社のOnePollが、米国の成人2,000人を対象に行った調査によると、98%の人は日常生活で体を意識して動かすことで、運動不足を十分ではないにしても解消できると感じていることが分かった。

 日常で取り組んでいる身体活動として、▼近所の散歩(74%)、▼階段の昇降(60%)、▼庭仕事(59%)、▼掃除(59%)、▼犬の散歩(56%)、▼食料品などの買い物(42%)を挙げる人が多かった。

▼ベッドから起きた後のストレッチ(35%)、▼皿洗いや洗濯(33%)、▼1時間以上座らないようにする(30%)、▼子供たちの学校のための準備(10%)といった回答もあった。

 一方で、体力低下を感じている人も8割に上り、運動中に自分の身体の限界を感じたことのある人も多かった。87%とほとんどの人は、体力や身体能力をもっと向上させたいと感じていることも分かった。

1日に4時間以上体を動かしている人は死亡リスクが62%減少

 活発なウォーキングやランニングだけが、健康増進の効果のある方法ではなく、家事なども立派な運動になるという、別の研究が発表されている。

 掃除、洗濯、料理、買い物、階段の昇降、庭仕事などの日常で行っている家事などの活動も、心臓血管を健康にするのに役立っているという

 「どのような運動や身体活動であっても、健康増進や病気の予防・改善には有用です。日常生活で、椅子に座ったままの時間が長引いたら、意識して立ち上がって体を動かすことで、心臓血管疾患のリスク低下を期待できます」と、米カリフォルニア大学公衆衛生大学院のスティーブ グエン氏は言う。

 研究グループは、心臓病のない63~97歳の米国人女性5,416人を対象に調査を行った。参加者に、日常での身体活動も測定できる活動量計を最大7日間着用してもらい、運動や身体活動に費やした時間を測定した。

 その結果、日常生活で体を動かしている時間が1日に4時間以上の女性は、2時間未満の女性に比べて、心血管疾患のリスクが43%低く、冠状動脈性心疾患のリスクも43%低くかった。さらに、脳卒中のリスクが30%低く、とくに心血管疾患による死亡リスクは62%低いことも分かった。

家事に取り組むとメンタルヘルスも改善

 家事に取り組むと、体だけでなくメンタルの健康も促されるという別の研究を、米ケース ウェスタン リザーブ大学看護学部が発表している。

 とくに、掃除などの家事に毎日取り組んでいて、家を清潔で整頓された状態に保っている高齢者は、肉体的に良好で、精神的にも気分が良いことが多いことが示された。

 「高齢者はとくに生活スタイルが座りがちになりやすいのですが、立ち上がったり椅子に座ったりを繰り返したり、家や職場の近くを歩いてみるなど、短い時間に体を動かすだけでも、続けていると差がでてきます」と、同学部のキャシー ライト氏は言う。

 研究グループは、糖尿病や高血圧などの慢性疾患が1つ以上ある、65~94歳の高齢者337人を対象に調査した。

家事だけでは十分な運動量を確保するのは難しい?

 一方で、家事だけでは十分な運動量を確保するのは難しいので、活発なウォーキングなどの運動も習慣として行った方が良いという調査結果も発表されている。

 「家事も身体活動であり、理論的にはどんな身体活動であっても、消費カロリーを増やす役に立ちます。しかし、家事だけで十分な運動になると思っている人は、体重が増えやすいことが示されました」と、英国のアルスター大学運動健康部のマリー マーフィー教授は言う。

 また、高齢の男性は女性に比べ、1日に家事に費やす時間が少ないことも示された。女性が家事に費やす時間が平均して1日に5時間であるのに対し、男性は3時間しか費やしていないという。

 家事だけを行っていれば十分な運動量になると考えずに、活発なウォーキングなどの、うっすらと汗ばみ、息がはずむような強度の運動も生活に取り入れた方が良さそうだ。

わずか20分のウォーキングで死亡リスクは下げられる

 運動不足を解消するために、1日に座ったまま過ごす時間をなるべく減らす方法がある。仕事中に座り続けている人は多く、1日に9~10時間を座ったまま過ごしている人も多い。

 座ったまま過ごす時間の長い生活スタイルが続くと、血糖や血圧の値が上昇しやすくなり、死亡リスクが高くなることが知られている。

 立ち上がって、短い時間でも体を動かすと、死亡リスクの上昇を抑えられることが、50歳以上の男女1万2,000人を対象とした大規模な調査で明らかになっている。

 「1日で座ったまま過ごす時間が長い人は、意識して立ち上がって体を動かすことを習慣にすると、2型糖尿病や肥満の予防・改善につながります」と、デンマークのオーフス大学臨床疫学部のジェイコブ タープ氏は言う。

 研究グループは、計1万1,989人の50歳以上の男女の座位時間と身体活動、死亡リスクなどの関連を解析した。

 その結果、座りっぱなしの時間が1日12時間以上に及ぶ人は、1日8時間の人に比べて、死亡リスクが38%上昇することが示された。

 その一方で、ウォーキングなどの活発な運動や身体活動を毎日22分以上行っていると、座りっぱなしの時間が長い人でも、死亡リスクは上昇しないことが分かった。

身体活動・運動の推進 (厚生労働省)

Housework keeps older adults more physically, emotionally fit, according to new study (ケース ウェスタン リザーブ大学 2015年5月5日)
Factors that influence physical function and emotional well-being among Medicare-Medicaid enrollees (Geriatric Nursing 2015年3月)
Housework gender differences may affect health in elderly men and women (BioMed Central 2018年1月10日)
Investigating the associations between productive housework activities, sleep hours and self-reported health among elderly men and women in western industrialised countries (BMC Public Health 2018年1月11日)
Does doing housework keep you healthy? The contribution of domestic physical activity to meeting current recommendations for health (BMC Public Health 2013年10月18日)
Daily Activities Like Washing Dishes Reduced Heart Disease Risk in Senior Women (カリフォルニア大学 2022年2月22日)
Accelerometer‐Derived Daily Life Movement Classified by Machine Learning and Incidence of Cardiovascular Disease in Older Women: The OPACH Study (Journal of the American Heart Association 2022年2月22日)
Daily 20-25 mins of physical activity may offset death risk from prolonged sitting (BMJ 2023年10月24日)
Device-measured physical activity, sedentary time, and risk of all-cause mortality: an individual participant data analysis of four prospective cohort studies (British Journal of Sports Medicine 2023年10月24日)
[Terahata]
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