昨年の職場での熱中症による死傷者が1,100人を突破 前年と比べて34%も増加(厚生労働省)

厚生労働省は、2023年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)が1106人だったと発表した。
これは前年比279人増(34%増)で、全体の約4割が建設業と製造業での発生だった。
厚生労働省では「STOP! 熱中症クールワークキャンペーン」を展開するなどしており、より一層の熱中症予防対策を徹底したい考え。
厚生労働省がとりまとめた「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、死傷者数は2021年に561人にまで下がっていたが、2022年は827人、2023年は1106人と右肩上がりで増えた。2023年の死傷者数1106人のうち死亡したのは31人で、前年比1人増。
2023年に業種別で最も死傷者数が多かったのは製造業の231人(うち4人死亡)、建設業の209人(うち12人死亡)。
2019年から2023年の5年間で死傷者数を比べると、最も多いのは建設業で全体の21%、次いで製造業が20%、運送業が14%、警備業と商業がそれぞれ10%などとなっている。
また死亡災害においても建設業が最も多く発生しており、2019年から2023年までの5年間で合わせて54人が死亡している。これは2番目に多い製造業の18人と比べて、3倍も多い。
死傷者の年齢別では50歳以上が約半数を占めた。中でも65歳以上が198人(うち7人死亡)で全体の16%と高い。
厚生労働省では、HPに職場における熱中症予防情報をまとめ、事業主や安全・衛生管理担当者、現場作業者に向けて啓発している。
たとえば熱中症についての正しい知識、応急手当て法、暑さ指数の活用法など7つの項目で予防対策を発信する動画「自分でできる熱中症予防」を公開。
ほかにも、専門家による検討委員会で作成された「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、基礎知識から具体的な予防法などについて総合的にまとめている。このうち「危ない状況と対策」では、屋外の建設現場と屋内の製造現場における予防のポイントなども詳しく解説している。
いずれの資料もHPから閲覧、ダウンロードでき、厚労省では熱中症予防対策に役立ててほしいと呼びかけている。
令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します(厚生労働省/2024年5月31日) 熱中症予防スイッチオン「自分でできる7つのこと」 「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」(厚生労働省)

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