前年に比べて労働災害の発生頻度が上昇 令和5年「労働災害動向調査」より(厚生労働省)

厚生労働省はこのほど、100人以上の常用労働者を雇用する事業所と、総合工事業の現場における令和5年の「労働災害動向調査」について結果をとりまとめ、公表した。
事業所調査では、前年に比べて労働災害の発生頻度が上昇していたことが分かった。
労働災害動向調査は、主要産業における年間の労働災害の発生状況を明らかにするのを目的に実施している。労働災害とは、業務に起因した労働者の負傷、疾病、および死亡をいう。
今回は有効回答を得た、事業所規模100人以上の9798事業所と、総合工事業の延べ4643工事現場について結果を集計した。
このうち事業所調査では、日本標準産業分類をもとにした産業別で調べている。
令和5年の労働災害の状況は、災害発生の頻度を表す「度数率」(100万延べ実労働時間あたりの労働災害による死傷者数)が2.14で、前年の2.06を上回った。
一方、災害の重さの程度を表す「強度率」(1000延べ実労働時間あたりの延べ労働損失日数)は0.09で変わりがなかった。
死傷者1人平均労働損失日数は40.0日で、前年の44.3日に比べて減少。また無災害事業所の割合は52.4%で、前年の54.9%より減った。
産業別に労働災害の状況を見ると、まず「度数率」では漁業が11.52、農業・林業が7.34、生活関連サービス業・娯楽業が4.61となっている。「強度率」では農業・林業が0.51、生活関連サービス業・娯楽業が0.31、運輸業・郵便業が0.19など。
事業所規模別では、1000人以上では度数率が0.56、強度率が0.02。100〜299人では度数率2.91、強度率0.12で、度数率と強度率ともに事業所規模が小さいほど高くなるのがわかる。
一方、別途行われている「総合工事業調査」では度数率が1.69、強度率が0.29、死傷者1人平均労働損失日数が174.2日だった。
6月中を準備期間とし、7月1日から7日を本週間とする「全国安全週間」が今年も開かれている。厚生労働省、中央労働災害防止協会が主唱者となり実施されているもので、今年で第97回を迎える。
今年のスローガンは「危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全」。期間中は広報の強化や、安全パトロールによる職場の総点検の実施などに集中的に取り組み、安全週間に限らず継続的に安全衛生活動を推進していく。
令和5年「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模 100 人以上) 及び総合工事業調査)」の結果を公表します(厚生労働省/2024年5月31日) 令和6年度 全国安全週間(中央労働災害防止協会)

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