ニュース

【夏の水分補給】水以外の飲みものは肥満や体重増加の原因に 「高カロリー飲料は飲まないで!」と専門家がアドバイス

 まだまだ暑い日が続く。大量の汗をかく夏場は、水を飲むことで、失った水分を補うことが大切だ。

 水分補給をするときに気を付けたいのは、簡単に手に入るコーラやジュース、缶コーヒーなどの清涼飲料には、糖質が含まれている高カロリーのものが多いことだ。

 高カロリー飲料を利用している人は、世界的にとくに若い世代で増えていることが、世界の185ヵ国を対象とした研究で明らかになった。

 高カロリー飲料の飲みすぎにより体重増加や肥満のリスクが高まると、その後の人生に大きな影響が出てくる可能性がある。

 コーラやジュースなどの飲料を毎日、1日250mL以上飲んでいる小児と若年者は、糖尿病を発症するリスクが高くなることも分かった。

 糖質が加えられた甘い飲料を飲みすぎないようするため、専門家は4つのことをアドバイスしている。

若い世代で高カロリー飲料の利用が増えている 185ヵ国を調査

 水分補給をするときに気を付けたいのは、簡単に手に入るコーラやジュース、缶コーヒーなどの清涼飲料には、糖質が含まれている高カロリーのものが多いことだ。

 そうした高カロリー飲料を利用している人は、世界的にとくに若い世代で増えていることが、世界の185ヵ国を対象とした研究で明らかになった。

 3~19歳の小児と若年者が、コーラなどの炭酸飲料・ジュース・エナジードリンク・スポーツドリンクフルーツドリンクなどの糖質の含まれる飲料を摂取している量は、1990年に比べて23%近く増えたとしている。

 研究は、米タフツ大学などが、1990~2018年までの1,200件を超える調査のデータを大規模モデルに組み込んで解析したもの。

 糖質が含まれていて1杯あたりのカロリーが50kcal以上含まれている飲料を「高カロリー飲料」と定義した。たとえば、コーラ100gあたりのカロリーは50kcalくらいだ。

若い世代の飲んでいる高カロリー飲料の増加は成人の2倍

 「国や地域によっては、子供と若年が飲んでいる高カロリー飲料の量の増加は、成人の2倍にも上ることが示されました」と、同大学栄養科学政策学部のダリウシュ モザファリアン教授は言う。

 子供や若者は成人と異なり、ただちに心血管疾患や2型糖尿病を発症することはあまりないが、高カロリー飲料の飲みすぎにより体重増加や肥満のリスクが高まると、その後の人生に大きな影響が出てくる可能性がある。

 「人生の早い時期から、生活行動を健康的に変えていき、とくに高カロリー飲料の飲みすぎによる悪影響を防ぐための、的を絞った教育と政策介入を行う必要があります」と、モザファリアン教授は指摘している。

若い人の3分の2が甘い高カロリー飲料を毎日飲んでいる

 コーラやジュースなどの糖質が多く含まれる飲料を毎日、1日250mL以上飲んでいる小児と若年者は、2型糖尿病を発症するリスクが高くなるという別の調査結果を、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 とくに男子では、糖質の多い甘い飲みものを、毎日1杯(250mL)飲む習慣は、インスリン抵抗性が34%増え、空腹時血糖値が5.6mg/dL増加し、1~2ヵ月の血糖値の平均が反映されるHbA1cが0.12%上昇することと関連していた。

 高カロリー飲料を飲む代わりに、新鮮な野菜や果物を食べるようにすると、糖尿病リスクは上昇しないとしている。

健康的な食事スタイルについて専門家に相談

 AHAによると、米国の小児と若年者の3分の2が、ソーダ・レモネード・エナジードリンクなどの甘い飲み物を、毎日1本以上飲んでいる。

 糖質の多い甘い飲料の飲みすぎが習慣になると、体重が増加し、心臓病・高血圧・2型糖尿病・虫歯などのリスクが高まるとしている。

 「2型糖尿病のリスクは、考えられていたよりも若い年齢ではじまることが分かり、驚いています」と、ハーバード ヘルスケア研究所およびハーバード大学ポピュレーション医学部のソレン ハルノワ ルブラン氏は述べている。

 「糖質が多く加えられた飲料を飲む習慣のある人は、医師や栄養士などの医療従事者に、健康的な食事スタイルについて相談することをお勧めします」としている。

 研究グループは、妊娠中・出産後の女性とその子供を対象に、米国で実施されている長期の大規模調査である「プロジェクト ビバ」に参加した、455人の小児と若年者を対象に調査した。
甘い飲みものを飲みすぎないための4つのアドバイス
 糖質が多く含まれる甘い飲料は、多くの人にとって食事で摂取する糖質の最大の供給源となっている。

 米国心臓学会(AHA)は、甘い炭酸飲料、ジュース、砂糖入りコーヒー、エナジードリンク、スポーツドリンクなどで余分なカロリーをとりすぎないようするため、次の4つのことをアドバイスしている。

加工食品に表示された栄養表示と原材料名を確認する
 エナジードリンクやボトル入りスムージーなど、体に良さそうにみえる飲み物にも、糖質が多く加えられている場合があります。
 コーラやジュースなどの清涼飲料や、お菓子やスイーツなどの甘味の強い加工食品の多くに、甘味料として「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」が使われています。
 そうした飲料や食品を多く利用している人で、肥満や2型糖尿病などの代謝疾患が多くみられます。
 そうした食品は手早く利用することができますが、高カロリーで、体に良い食物繊維や必須栄養素はあまり含まれていないことが多いので注意が必要です。

無糖のお茶や水に徐々に慣れる
 高カロリーの清涼飲料水を、水や無糖のお茶、コーヒーなどに置き換えると、肥満や糖尿病のリスクを減らせます。甘い飲みものを習慣として飲んでいる人は、半分を甘味を抑えた飲みものに変えるなどして、徐々に慣れるようにすると上手くいきます。

水分補給はなるべく水で
 水分補給するのにもっとも適しているのは、糖質の含まれていない普通の水です。ミネラルウォーターなどの入ったボトルを持ち歩いたり、机に置いておくと、水を飲みことを習慣にできます。

野菜や果物の入ったスムージーを利用
 甘いものが食べたいときや午後にエネルギーを補給したいときは、甘いコーヒーや炭酸飲料の代わりに、自家製スムージーを作ってみましょう。野菜や果物、ヨーグルトを使ったスムージーは簡単に作れます。砂糖を加えすぎないように注意しましょう。

Sugary Drinks (ハーバード公衆衛生大学院 2023年8月)
Rethink Your Drink: How to Reduce Sugary Drinks (米国心臓学会 2024年8月2日)
Sugar-sweetened beverage intake increasing globally among children and teens (タフツ大学 2024年8月7日)
Intake of sugar sweetened beverages among children and adolescents in 185 countries between 1990 and 2018: population based study (BMJ 2024年8月7日)
Sugary drinks, fruit juices linked to higher risk of developing Type 2 diabetes among boys (米国心臓学会 2024年3月19日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶