ニュース

「腰痛」は座っている時間を減らすと予防・改善できる 座位時間が長い人は立ち上がり体を動かす工夫を

 暑い日が続くと、腰痛や肩こりが増えるという報告がある。

 腰痛に悩まされている人は、毎日の座ったまま過ごす時間を減らし、なるべく体を動かすようにすると、腰痛の悪化を防げることが明らかになった

 「1日に座ったまま過ごす時間が多く、腰の健康が心配という人は、仕事中や余暇時間に立ち上がり、座位行動を減らす工夫をすることをお勧めします」と、研究者はアドバイスしている。

座っている時間を減らすと腰痛を予防・改善できる

 今年の夏も猛暑が続いた。暑い日が続くと、腰痛や肩こりが増えるという報告がある。暑い日には、汗が出る状態が続いたり、食欲がなくなり栄養バランスが乱れたり、屋外で散歩などをする機会も減少し、運動不足になりやすい。

 暑さにより、体調をコントロールしている自律神経の働きも乱れ、体調に変調をきたしやすいことや、筋肉に老廃物や疲労物質がたまりやすいことなども影響しているとみられている。

 そんな人に良いニュースがある。腰痛に悩まされている人は、毎日の座ったまま過ごす時間を減らし、なるべく体を動かすようにすると、腰痛の悪化を防げるという研究を、フィンランドのトゥルク大学が発表した。

1日の大半を座って過ごしている人は注意が必要

 研究グループは、毎日の座位時間を減らすことで、1日の大半を座って過ごしている過体重や肥満のある成人の腰痛を予防または軽減できるかどうかを調べた。

 64人の参加者を介入群と対照群にランダムに分け、介入群には座位時間を1日1時間減らすことを目標に過ごしてもらい、対照群には通常通りの生活を続けてもらった。

 その結果、介入群は6ヵ月の期間中に、座位時間を1日平均して40分減らすことができた。

 両群とも疼痛関連の障害は増えたが、何もしなかった対照群では腰痛の強さが増加した一方で、介入群では変化しなかった。

 研究グループは、磁気共鳴画像法(MRI)と放射性トレーサーにもとづくPET画像法を使用し、参加者の背筋も測定した。

 腰痛のある人は、背中の筋肉に過剰な脂肪が蓄積していたり、糖代謝やインスリン感受性に不調があり、血糖値が上がりやすいことなども示された。そうしたことが、腰に痛みが生じやすくしている可能性がある。

長い座位時間と運動不足は糖尿病や心臓病のリスクも高める

 今回の試験に参加したのは、1日に座ったまま過ごす時間が長く、運動はほとんどせず、過体重や肥満のある中年成人だった。

 長い座位時間と運動不足は、2型糖尿病や心臓血管疾患のリスクを上昇させるだけでなく、腰痛のリスクとも関連している。

 「今回の研究は、身体活動と腰痛の関係、さらに腰痛に関連するメカニズムに対する理解を深めるものです。毎日の座位時間を減らすと、6ヵ月で腰痛の悪化を防げることが示されました」と、同大学で理学療法を研究しているジョア ノラ氏は言う。

 直感的には、座っている時間を減らすと、腰痛に効果があることは理解しやすいが、これまで科学的な研究はあまり行われていなかったとしている。

座位時間が多い人は立ち上がり体を動かす工夫を

 「腰痛のリスクがあったり、1日に座ったまま過ごす時間が多く、腰の健康が心配という人は、仕事中や余暇時間に立ち上がり、座位行動を減らす工夫をすることをお勧めします」と、ノラ氏は指摘している。

 「ただ意識して立っているだけでも良いのですが、ウォーキングなどの活発な運動・身体活動を行うと、さらに良い効果を期待できます」。

 「座ったときに腰に負担をかけない姿勢を探すことよりも、体を使い姿勢を切り替えることの方が効果的である可能性もあります」としている。

Reducing daily sitting may prevent back pain (トゥルク大学 2024年10月2日)
Effects of reducing sedentary behaviour on back pain, paraspinal muscle insulin sensitivity and muscle fat fraction and their associations: a secondary analysis of a 6-month randomised controlled trial (BMJ Open 2024年9月28日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶