ニュース
「腰痛」は座っている時間を減らすと予防・改善できる 座位時間が長い人は立ち上がり体を動かす工夫を
2024年10月07日

暑い日が続くと、腰痛や肩こりが増えるという報告がある。
腰痛に悩まされている人は、毎日の座ったまま過ごす時間を減らし、なるべく体を動かすようにすると、腰痛の悪化を防げることが明らかになった
「1日に座ったまま過ごす時間が多く、腰の健康が心配という人は、仕事中や余暇時間に立ち上がり、座位行動を減らす工夫をすることをお勧めします」と、研究者はアドバイスしている。
座っている時間を減らすと腰痛を予防・改善できる
今年の夏も猛暑が続いた。暑い日が続くと、腰痛や肩こりが増えるという報告がある。暑い日には、汗が出る状態が続いたり、食欲がなくなり栄養バランスが乱れたり、屋外で散歩などをする機会も減少し、運動不足になりやすい。 暑さにより、体調をコントロールしている自律神経の働きも乱れ、体調に変調をきたしやすいことや、筋肉に老廃物や疲労物質がたまりやすいことなども影響しているとみられている。 そんな人に良いニュースがある。腰痛に悩まされている人は、毎日の座ったまま過ごす時間を減らし、なるべく体を動かすようにすると、腰痛の悪化を防げるという研究を、フィンランドのトゥルク大学が発表した。1日の大半を座って過ごしている人は注意が必要
研究グループは、毎日の座位時間を減らすことで、1日の大半を座って過ごしている過体重や肥満のある成人の腰痛を予防または軽減できるかどうかを調べた。 64人の参加者を介入群と対照群にランダムに分け、介入群には座位時間を1日1時間減らすことを目標に過ごしてもらい、対照群には通常通りの生活を続けてもらった。 その結果、介入群は6ヵ月の期間中に、座位時間を1日平均して40分減らすことができた。 両群とも疼痛関連の障害は増えたが、何もしなかった対照群では腰痛の強さが増加した一方で、介入群では変化しなかった。 研究グループは、磁気共鳴画像法(MRI)と放射性トレーサーにもとづくPET画像法を使用し、参加者の背筋も測定した。 腰痛のある人は、背中の筋肉に過剰な脂肪が蓄積していたり、糖代謝やインスリン感受性に不調があり、血糖値が上がりやすいことなども示された。そうしたことが、腰に痛みが生じやすくしている可能性がある。長い座位時間と運動不足は糖尿病や心臓病のリスクも高める
今回の試験に参加したのは、1日に座ったまま過ごす時間が長く、運動はほとんどせず、過体重や肥満のある中年成人だった。 長い座位時間と運動不足は、2型糖尿病や心臓血管疾患のリスクを上昇させるだけでなく、腰痛のリスクとも関連している。 「今回の研究は、身体活動と腰痛の関係、さらに腰痛に関連するメカニズムに対する理解を深めるものです。毎日の座位時間を減らすと、6ヵ月で腰痛の悪化を防げることが示されました」と、同大学で理学療法を研究しているジョア ノラ氏は言う。 直感的には、座っている時間を減らすと、腰痛に効果があることは理解しやすいが、これまで科学的な研究はあまり行われていなかったとしている。座位時間が多い人は立ち上がり体を動かす工夫を
「腰痛のリスクがあったり、1日に座ったまま過ごす時間が多く、腰の健康が心配という人は、仕事中や余暇時間に立ち上がり、座位行動を減らす工夫をすることをお勧めします」と、ノラ氏は指摘している。 「ただ意識して立っているだけでも良いのですが、ウォーキングなどの活発な運動・身体活動を行うと、さらに良い効果を期待できます」。 「座ったときに腰に負担をかけない姿勢を探すことよりも、体を使い姿勢を切り替えることの方が効果的である可能性もあります」としている。 Reducing daily sitting may prevent back pain (トゥルク大学 2024年10月2日)Effects of reducing sedentary behaviour on back pain, paraspinal muscle insulin sensitivity and muscle fat fraction and their associations: a secondary analysis of a 6-month randomised controlled trial (BMJ Open 2024年9月28日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月28日
- 【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月22日
- 高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?