職場での「心身のストレス反応」で月経不順の発生リスクが高まる 2000人以上の女性職員を追跡調査(大阪大学)

大阪大学の研究グループがこのほど、2000人を超える同大学女性教職員の追跡調査をもとに、職場での心身のストレス反応と月経(生理)不順の関連を調査。
その結果、心身のストレスが高まるにつれ、月経不順の発生リスクが高まることがわかった。
職場のストレスと月経不順の関連を評価した疫学研究はこれまでになく、同大学では「今後、職場でのストレス対策の重要性について議論が高まることが期待される」としている。
今回の研究は、大阪大学大学院医学系研究科の大学院生・松村雄一朗さんと、同大学キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らのグループによるもの。
厚生労働省が運営する「働く女性の心とからだの応援サイト」によると、正常な月経周期は25日から38日とされている。この周期が不規則で、次の月経の予測がつかないことを「月経不順」と呼ぶ。周期に問題がなかった人でも、ストレスやホルモンバランスの崩れなどで短期的に月経不順になるケースもある。
研究グループによると、これまでにも職場における心身のストレスが月経不順のリスクである可能性は示唆されていたが、大規模集団を長期間追跡した研究報告はなく、その関連性は明らかになっていなかったという。
そこで、2019〜2021年度にストレスチェックを受けた同大学の女性教職員2,078人を2022年度まで追跡。労働安全衛生法で実施が義務付けられているストレスチェックの結果をもとに、月経不順との関連を調査した。
その結果、ストレスチェックの調査票に含まれる3つの領域(「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」)のうち、「心身のストレス反応」が高い女性教職員は月経不順の発生リスクが高いことがわかった。
「心身のストレス反応」とは「不安だ」、「ゆううつだ」、「動悸や息切れがする」、「眠れない」といった状況を指す。一方で「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」については月経不順との関連は認められなかった。
研究グループは女性の社会進出が進む中、今回の結果をもとに「職場環境への介入により職場のストレスを低下させ、女性の生活の質の改善がなされることが期待されます」としている。
「働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)」では、生理についての基本情報から、生理の不快な症状が強い女性への職場におけるサポート例、先進的な取り組みを行なっている事業の事例などを掲載。
この中で『「生理」に関して理解ある職場環境を考えてみませんか?』とするリーフレットも作成し、公表している。リーフレットでは、労働基準法で定められている生理休暇について解説。女性が生理のつらい症状があるときに、休暇取得など適切な対応が取れるよう働きかけている。


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