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健診・保健指導の新プログラム より細やかな対応と減酒・禁煙支援を記載
2013年01月25日
厚生労働省は1月21日に開催した「健診・保健指導の在り方に関する検討会」(座長=永井良三・自治医科大学長)に「標準的な健診・保健指導プログラム」改訂の最終案を提示した。議論をふまえた修正を加え、3月中に新しいプログラムを関係者に通知する方針。
特定健診時の判定によってきめ細やかに対応
現行制度では保健指導の対象は肥満者だけだが、最終案では肥満でなくとも血圧などが高めの人にも対応を求めた。そのため特定健診時の質問項目の解説や回答の活用例なども盛り込んだ。
プログラム改定案の文例集では、受診者に検診結果を通知する際の情報提供の資料として、▽高血圧、▽脂質異常、▽高血糖、▽尿タンパク、▽尿タンパクおよび血清クレアチニン、▽喫煙習慣――に関する文例集を作成。
腹囲やBMIに加えて、血圧などの数値に合わせて提供すべき情報を提示した。この文例集をふまえて健診結果の説明を受けることで、受診者の理解がさらに深まり行動変容につながるとみている。
例えば、最大血圧160mmHg以上か最少血圧100mmHg以上の場合、肥満者かどうかに関わらず、かかりつけの医療機関の受診を勧めるべきとした。一方、最大血圧130mmHg以上140mmHg未満か、最少血圧85mmHg以上90mmHg未満の場合は、肥満者かどうかで異なる文例を用意。肥満者であれば、特定保健指導を受けるよう推奨するほか、減量や減酒、減塩などの生活習慣の改善を求めるべきとし、非肥満者なら、生活習慣の改善のみを勧めるよう求めた。
また、LDLコレステロールが180mg/dL以上、または中性脂肪が1,000mg/dLの場合、肥満者かどうかに関わらず、かかりつけの医療機関の受診を勧めるべきとした。一方、LDLコレステロール120mg/dL以上140mg/dL未満か、中性脂肪150mg/dL以上300mg/dL未満、またはHDLコレステロール40mg/dL未満の場合は、肥満者かどうかで異なる文例を用意。肥満者であれば、特定保健指導を受けるよう推奨するほか、生活習慣の改善を求めるべきとし、非肥満者なら、生活習慣の改善のみを勧めるよう求めた。
血糖値に関しては、空腹時血糖値とHbA1c値によって対応が変わる。保健指導の判定値を超える値の場合、空腹時血糖値が125mg/dL以下110mg/dL以上、あるいはHbA1c値が6.0%以上6.4%以下の場合は、肥満の有無や糖尿病治療の有無によって、医療機関の検査を勧奨するほか、生活習慣の改善を求めるなど、きめ細やかに対応できるようにした。
飲酒量やアルコール依存症を判断するテストや禁煙支援マニュアルも追加
改訂案では、メタボリックシンドローム以外の生活習慣病や重症化予防も重要視し、喫煙や飲酒が健康に及ぼす影響についても大きく取り上げた。特にアルコールについては、アルコール依存症の可能性や生活習慣病のリスクを高める飲酒量かどうかを確認するため、世界保健機関(WHO)のスクリーニングテスト「AUDIT」(アルコール使用障害同定テスト)を用いて、スコア別に依存症の可能性を判断する手法をプログラムに採用した。
アルコール依存症が疑われる場合には、専門医療機関の受診につなげ、依存症の可能性が低くても問題があると判定した場合には、減量支援を実施する方針だ。具体的には、飲酒量や種類などふだんの飲酒状況を詳しく聞いた上で、生活習慣の改善が必要と判定した場合には、減酒目標を設定する。
ICT活用した遠隔面談、初回も可能に―厚労省案
この日の会合で厚労省は、インターネットなどのICT(情報通信技術)を活用した特定保健指導での遠隔面談の枠組みを提案した。現在は初回時の支援は、医師・保健師・管理栄養士が対面での実施することを原則としているが、一定の条件が整っていれば、ICTの活用による遠隔保健指導を認める方針だ。
ただし、映像と音声の送受信により、相手の表情、声、しぐさなど相互に認識できる場合や、同じ資料を使って、対面の場合と同様の支援を行える場合などに限定している。また、支援にかける時間は、「ICTを通じたコミュニケーションに一定の時間を要する」として、対面の場合(20分以上)より長い30分以上とした。
映像と音声の送受信に対して常時安定し、かつスムーズなデータ伝送が可能であることと、映像と音声の送受信に対して情報セキュリティが確保されていることも必要条件となる。
実施する場合は、特定保健指導の対象者全体と遠隔指導の対象者、対面による指導の対象者のそれぞれで、健診データの改善率や指導の脱落率、満足度などを収集し、年度ごとに報告するよう保険者に求める。
第7回健診・保健指導の在り方に関する検討会(厚生労働省)
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