ニュース

座ったまま過ごす時間を減らしウォーキング インスリン抵抗性を改善

 「運動ジムに通いたいが、なかなか時間をとれない」という人は多いのでないだろうか。そんな人に朗報だ。「軽度のウォーキングなどの運動をする時間を増やせば、激しい運動を短時間行うよりも、健康増進に効果的につなげることができる」という研究が発表された。

 「健康のために運動をしている人は多くいます。しかし、激しい運動を集中して1時間行ったとしても、1日の大部分を座って過ごしていたら、あまり意味はないかもしれません。座ったまま過ごす時間を減らすことが、インスリン抵抗性や血中脂質の改善につながるのです」と、オランダのマーストリヒト大学のハンス サーベルベル博士は言う。

 研究チームは、19~24歳の18人の若者を対象に実験を行った。参加者を無作為に、(1)運動をしないで、1日14時間座ったまま過ごす、(2)13時間座ったまま過ごし、1時間だけエルゴメーターを使い活発な運動をする、(3)6時間座り、軽いウォーキングを4時間、2時間は立ったまま過ごす――という3つのグループに分けた。

 検査を行い、インスリン抵抗性と血中脂質レベルを調べた。もっとも改善していたのは(3)のグループだった。

 インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞内に取り入れエネルギーとして利用する際に必要となるホルモン。インスリンは分泌されているが、体のインスリンに対する感受性が低下している状態を「インスリン抵抗性」という。

 インスリン抵抗性は糖尿病を悪化させる原因となるほか、糖尿病の前段階といえる肥満やメタボリックシンドロームとも関連が深い。興味深いことに、もっともインスリン抵抗性が改善していたのは、立ったまま過ごす時間が長い人だった。

 運動の消費エネルギーが同じくらいでも、立ったまま過ごす時間が長い人では、コレステロール値や中性脂肪値、善玉のHDLコレステロール値がより改善していたという。

 「ジムに通って筋トレをしているので、健康には自信がある」という人も、勤務先や自宅で座りきりで過ごしていれば、運動の効果は半減するかもしれない。

 「インスリン抵抗性やコレステロールや中性脂肪を改善するために理想的なのは、1日をなるべく立ったまま過ごし、軽いウォーキングなどの運動を長時間行うことです」と、サーベルベル博士は言う。

 「勧められるのはゆったりとしたペースで歩いて、座らないようにする生活パターンであることが分かりました。ウォーキングのような中強度の運動を行い立ったまま過ごす時間を増やせば、激しい運動をしなくとも、運動の効果を得ることができます」(サーベルベル博士)。

Minimal Intensity Physical Activity (Standing and Walking) of Longer Duration Improves Insulin Action and Plasma Lipids More than Shorter Periods of Moderate to Vigorous Exercise (Cycling) in Sedentary Subjects When Energy Expenditure Is Comparable( PLOSONE 2013年2月)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「運動」に関するニュース

2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?
2025年07月07日
日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年07月01日
生活改善により糖尿病予備群から脱出 就労世代の1~2割が予備群 未病の段階から取り組むことが大切 日本の企業で働く1万人超を調査
2025年07月01日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE) 2025年度申込を受付中 多職種連携のキーパーソンとして大きく期待される認定資格
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶