ニュース
食後の15分ウォーキングが高血糖を抑える 糖尿病リスクが低下
2013年06月20日

食後に血糖値が高くなる人は、毎食後に15分のウォーキングを行えば、血糖値を下げることができる。1日の中でまとまった時間をつくり集中的に運動するよりも、毎食後に運動した方が効果的であることが確かめられた。
この研究は、ジョージ・ワシントン大学の研究チームが行ったもので、「食後の15分間のウォーキングは、高齢の方でも効果的であることが分かりました。食後高血糖を改善すれば、動脈硬化の進行を抑えられ、心筋梗塞や脳卒中の危険性を下げることができます」と研究者は述べている。 研究に参加したのは、平均年齢70歳で糖尿病予備群(pre-diabety)と判定された高齢者10人だった。空腹時血糖値は正常であれば70~100mg/dLだが、参加者の血糖値は105~125mg/dLと高めだった。 参加者に、カロリーメーターと呼ばれる運動量を正確にはかる装置を備えた部屋に2日間入ってもらった。1日目(コントロール日)は何も運動をせず安静に過ごしてもらった。 2日目は、▽毎食の30分後に15分間のウォーキングを3回行う、▽午前か午後に45分間のウォーキングを行う――の2種類のパターンに分けて実験を行った。ウォーキングはすべてトレッドミルで、最高時速4.8kmの中程度の強度で行った。参加者は同じ標準化された食事をとり、48時間にわたり連続血糖値測定が行われた。 結果は、もっとも高血糖が抑えられ、血糖変動の起伏が少なかったのは、毎食後に15分のウォーキングを行った場合だった。食後3時間の血糖変動においても、高血糖を抑える効果があらわれた。 「食後のウォーキングによって、食後の血糖値の上昇が抑えられます。毎食後に歩くことが最適な運動法であることが分かりました。イタリアには"食後に歩くと体に良い"ということわざがありますが、それが正しいことを裏付ける結果になりました」と、ジョージ ワシントン大学のロレッタ ディピエトロ氏(公衆衛生学)は話す。 「まとまった運動時間をとれなかったり、体力に不安があるという高齢者でも、毎食後の15分の運動であれば苦にならないはずです。散歩や犬の散歩の習慣のある人は、楽にウォーキングを続けられます。"運動をどのように行えばよいかわからない"という70~80歳の方にとっては良いニュースです」(ディピエトロ氏)。 昼食や夕食後に眠くなり、テレビを見ながらうたた寝をしてしまう――こうした経験は誰にでもあるが、研究者によると、これがもっとも危険な生活習慣だという。ウォーキングは、特別な用意をしなくともどこでも行え、コストもかからないというメリットがある。 ただし、15分という短い時間であっても、朝・昼・夕食の後に毎日ウォーキングを行わないと効果は期待できないという。また、体重減少を目的とした運動としては運動量が足りないおそれがある。 米国糖尿病学会(ADA)によると、糖尿病予備群の段階にあり、肥満のある人は、体重を7%減らし、1日30分の運動を週5日行うことで、2型糖尿病を発症する危険性を58%低下することができる。 この研究は、米国立保健研究機構と国立老化研究所が資金提供し行われた。 Moderate-Intensity Walking Timed Just Right Might Help Protect Against Type 2 Diabetes(ジョージ ワシントン大学 2013年6月14日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「運動」に関するニュース
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?
- 2025年07月07日
- 日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年07月01日
- 生活改善により糖尿病予備群から脱出 就労世代の1~2割が予備群 未病の段階から取り組むことが大切 日本の企業で働く1万人超を調査
- 2025年07月01日
- 東京糖尿病療養指導士(東京CDE) 2025年度申込を受付中 多職種連携のキーパーソンとして大きく期待される認定資格