ニュース

夏の水分補給が脳と心臓を守る 「水を飲む習慣」で予防

 脳梗塞や心筋梗塞は冬に多いと思われているが、実は体内の水分が不足しやすい夏に発症する人も多い。暑い夏がまだまだ続くが、熱中症とともに日常生活では、脳梗塞や心筋梗塞への注意と対策が必要だ。

 「夏に脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい理由としてあげられるのが、体内の水分不足です。夏には汗を多くかくため、それに見合った量の水分を補給していないと、体が脱水症状に陥って、血流が悪くなったり、血液の塊である血栓ができやすくなります」と、米ウィリアム ボーモント病院のバリー フランクリン氏(循環器内科)は話す。

 加齢とともに、誰でも動脈硬化が起こりやすくなるが、それを促進するのが肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病だ。「こうした病気をもっている人、あるいはその予備群の段階の人は、もともと脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高いだけに、夏には水分補給を十分に心がける必要があります」と、フランクリン氏は指摘する。

 脳卒中には、脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」がある。脳卒中は冬に多いと思われているが、脳梗塞に限るとむしろ夏の発生数が多いという。

 また、「心筋梗塞」は虚血性心疾患のうちのひとつで、冠動脈の血流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死、または壊死に近い状態になる疾患をいう。心筋梗塞は、血栓が心臓の冠状動脈を塞いでしまうことで起こる。

 夏は温度が上がるため、体内の熱を発散しようと血管が拡張し、同時に血圧が低下する。汗をかくことで水分が不足して血液が濃くなり、血栓ができやすくなる。

 夏に脳梗塞や心筋梗塞を防ぐために、フランクリン氏は次のことをアドバイスしている。

水分をこまめに補給し脳梗塞や心筋梗塞を予防
 「体内の水分が不足すると、血液がドロドロになりやすく、心臓発作を起こしやすくなります。夏には十分な水分補給が必要です」と、フランクリン氏は強調する。

 「水分を摂取しても、体全体に浸透するまで約20分の時間がかかります。水を飲んでも、すぐに血液の流れがよくなるわけではありません。また、気付かないうちに、皮膚などからも水分は蒸発します。汗をかいていなくても、こまめに水分補給を行うことが大切です」としている。

 とくに暑い夏は、就寝中に脱水が起こりやすい。眠っている間に平均するとコップ1杯(200mL)程度の汗をかいている。気温の高い夜には、それ以上の汗をかくことも多い。また眠っているときは、一般に血圧が低下するため、血栓ができやすい状態になっているという。

 「予防のために、寝る前に水を1杯飲むようにしましょう。枕元に水を置いて、いつでも飲めるようにしておき、トイレに立った後などに少しでも飲むようにすると、睡眠中に汗で失った水分を補給できます。また、朝起きたときに水を1杯飲むことも、予防につながります」と、フランクリン氏はアドバイスしている。

アルコールやカフェインに注意
 仕事中にコーヒーを飲んだり、仕事帰りや自宅で冷えたビールを飲む人は多い。コーヒーやビールなどのアルコールを飲むと、たくさん水分をとっているように感じるかもしれない。

 ところが実際には、アルコール類やカフェインには利尿作用があるため、とくにアルコールは、飲んだ以上に尿となって水分が排出されてしまうケースが多い。

 また、多くの場合、アルコールを飲むと一時的に血圧が少し下がり脈拍数が増加する。これは体内に吸収されたアルコールが代謝される過程でアセトアルデヒドが生じ、血液中に増加し血管を拡張するためだ。

 しかし、アルコールの降圧作用は一時的なもので、飲み続けているとアセトアルデヒドが分解され血中濃度が下がり、血圧はむしろ上昇していく。飲酒量が多いほど、血圧は上昇しやすくなる。

 アルコールは高血圧以外にも、心臓については心房細動など不整脈を誘発する。それだけにアルコールを飲むときは、飲み過ぎに気を付けることが必要だ。

Summer Tips for a Healthy Heart(米国心臓学会)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月15日
スマホやゲーム機で遊ぶ時間が長いと睡眠障害に 子供の言語力や認知力の発達が低下 食習慣も大切
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年08月01日
肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶