ニュース
運動はどんなやり方でも効果がある 週に150分が目標
2013年11月22日

運動が肥満やメタボを解消し、高血圧や糖尿病などの予防・改善に役立つことを理解していても、「まとまった時間をとれないので、運動が続かない」と悩んでいる人は少なくない。そんな人に朗報だ。運動は決まった時間にまとめて行わなくとも、週に150分(2.5時間)の合計時間を確保できていれば、十分に効果を得られることが確かめられた。
短い時間でも積み重ねれば効果がある
カナダのクイーンズ大学のイアン ヤンセン氏(運動疫学)らは、運動と身体活動の頻度や時間と、2型糖尿病や心臓病、脳卒中などのリスク要因との関連を調べるために、18~64歳の男女2,324人を対象に調査研究を行った。
調査では、歩数や身体活動を記録できる活動量計を7日間、装着してもらい、日常での身体活動を記録してもらった。研究は2007~2011年にかけて一定の間隔を空けて4年間続けられた。
結果として、1週間のうち運動や身体活動を行う時間の合計が150分を超えていれば、まとまった時間をつくって集中して運動やスポーツに取り組んだ場合に比べ、ほぼ同等の効果を得られることが分かった。
「運動ガイドラインでは週に30分の運動を5回以上行うことが勧められていますが、運動する習慣のない人や、まとまった時間をとれないという人も多いのです。そんな場合でも、細切れの短い時間でも良いので、運動や身体活動に費やす時間をつくれば、十分に効果を得られることが分かりました」と、ヤンセン氏は言う。
「例えば、金曜日から月曜日にかけて運動をまったくしなかった人が、週末にまとまった時間をとってウォーキングをしたという場合や、逆に週末に運動をする余裕がなかった人が、10分の運動を1日3回、週5日行ったという場合を比べても、運動がもたらす恩恵は同等ということです」(ヤンセン氏)。
研究チームは、ウォーキングなどの有酸素運動を週に150分以上行っている人を追跡して調査した。週に1~4回に分けて運動を集中的に行っている人と、週に5~7回に小分けにして運動している人を比べ、メタボリックシンドロームや高血圧、腹囲周囲径、血糖値、中性脂肪値、HDLコレステロール値などの推移を記録していった。
いずれも、まったく運動しない人に比べ検査値は改善されていた。運動ガイドラインに忠実に従って運動した人ではメタボや高血糖、高血圧がより改善されていたが、まとまった運動時間をもたなかった人でも、運動の合計時間が週150分を超えていれば改善効果があることが判明した。
「運動は週に150分間は行わないと効果を得られませんが、それを達成できれば、どのような運動のやり方であっても恩恵を得られることが分かりました。運動は続けることが大切です。生活スタイルに合わせて、短い時間でも良いので、ともかくも運動をする時間をつくり、それを貯めていくことをお勧めします」と、ヤンセン氏は強調している。
米国立心臓・肺・血液研究所は、健康増進のための運動について、次のようにアドバイスしている。
・ウォーキングなどの有酸素運動を週に150分(2.5時間)行うことが目標です。はじめは、ゆっくりとしたペースのウォーキングや水泳などからはじめ、徐々に運動時間を増やしていきましょう。
・最初から一生懸命に取り組みすぎると、かえってケガの原因になることがあります。運動は自分のペースではじめて、少しずつ時間や強度を増やしていくのがコツです。
・運動を続けていれば、心肺機能が高められ、運動の能力が向上します。慣れてくれば、運動することで爽快感を得られ、ストレス解消にも役立ちます。肝心なことは、運動を続けることです。
・日常の生活で身体活動を増やすことでも効果を得られます。日常で体を動かす時間を増やしましょう。身体活動の例:▽窓ふきや床ふきなどの掃除(45~60分)、▽車のワックス拭き(45~60分)、▽ガーデニング(30~45分)、▽ベビーカーを押す(30分)、▽枯れ葉の掃除(30分)、▽ウォーキング(30分)、▽雪かき(25分)、▽階段の昇降(15分) ・はじめのうちは30分間のウォーキングを週に3日行い、余裕が出てきたら、ウォーキングの日を5日に増やしたり、時間を40分に延ばしていく計画を立ててください。運動によって、1日に100~200kcalのカロリーを燃焼できます。 Total Amount of Exercise Important, Not Frequency, Research Shows(クイーンズ大学 2013年6月24日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「データヘルス計画」に関するニュース
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月28日
- 【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月22日
- 高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?