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ゆっくり食べて肥満を予防 食事に時間をかけてカロリーを減少

 肥満や過体重を予防するためのシンプルな方法がある。それは食物をゆっくり食べることだ。よく噛んで食事に時間をかけることで、摂取カロリーの10%を減らすことができるという研究が、米国栄養・食事療法学会誌に発表された。

 「満腹感は、脳が感じるものです。食事をしてから胃から脳の満腹中枢に信号が伝わるまでに20分の時間がかかります。この20分間の食べ方を工夫すれば、食べ過ぎを防ぐことができます。脳内物質の働きとして内臓脂肪の分解を促進することも知られています。よく噛んで、ゆっくり食べることで、満足感を得やすくなるのです」と、テキサス クリスチャン大学のミーナ シャー氏(運動生理学)は話す。
よく噛んで食べれば摂取カロリーを抑えられる
 食事の速度とカロリー摂取の関連を調べるために、研究チームは35人の標準体重の男女と、35人の肥満または過体重の男女を対象に、2日間の実験を行った。

 被験者を2つのコンディションで同じ食事をしてもらった。「ゆっくり食べる」ときには、1口の量を少なめにし、噛む回数をふやしてもらい、「早く食べる」ときには、1口の量を多めにし、早く飲み込んでもらった。

 ゆっくり食べるときには、ひとつの食品を1口食べた後で、スプーンを下に置きひと呼吸をおいて、噛むことに意識を集中してもらった。

 その結果、食事の所要時間の平均は、ゆっくり食べた場合には22分で、早く食べた場合には半分以下の9分になった。

 また、ゆっくり食べた場合と、早く食べた場合とでは、摂取カロリーに差が出た。標準体重の人では88kcal、肥満または過体重の人では58kcal、それぞれ摂取カロリーが減少した。これは摂取カロリー全体のほぼ10%に相当するという。

 ゆっくり食べると、水を飲む頻度が高くなることも示された。飲んだ水の量は、標準体重の人では33%、肥満または過体重の人では27%増えていた。水の摂取量の平均は、早く食べた場合は255グラム(9オンス)だったが、ゆっくり食べると340g(12オンス)に増えていた。

食事時間や噛む回数が減ったことが肥満の原因
 世界中では成人の3人に1人以上が肥満または過体重で、その数は14億6,000万人に上る。特に、肥満は途上国でも急増している。1980年から2008年の間、途上国における肥満や過体重の人は2億5,000万人から9億400万人に増えたと報告されている。

 シャー氏は、肥満や過体重がふえた原因のひとつとして、食事で軟らかいもの、食べやすいものが増え、食事時間や噛む回数が減っていることが考えられると指摘している。

 「よく噛んで食べることは、誰でも簡単に取り組める、もっとも手軽なダイエット法といえます。食物繊維の多い噛みごたえのある食材や料理を多くすることで、咀嚼回数を増やすことができます」(シャー氏)。

 また、デスクでインターネットやテレビ、新聞を見ながらでは、食事や噛むことに集中できないので、勧められないという。家族や友人と一緒にゆっくりと食事を楽しむと効果的だ。

Slower-Paced Meal Reduces Hunger but Affects Calorie Consumption Differently in Normal-Weight and Overweight or Obese Individuals(米国栄養・食事療法学会誌 2013年12月30日)

[Terahata]
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