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朝食をとらない子供は将来メタボになる 27年追跡調査
2014年02月07日

朝食をとる習慣のない子供が成長すると、メタボリックシンドロームや糖尿病予備群になりやすいという研究が発表された。
朝食を欠食する習慣のある子供は、成長するとメタボや糖尿病予備群に
この研究は、889人のスウェーデン人を16歳から43歳まで27年追跡して調査したもの。スウェーデンのルレオ地域で行われている大規模研究「北スウェーデンコホート研究」の一環として行われた。
研究チームは、1981年に16歳の子供を対象に朝食の摂取状況に関する調査を行った。そして彼らの健康状態を追跡し、健康診断を18歳時、21歳時、43歳時に行った。
質の悪い朝食習慣を、「朝食を欠食する」、「飲み物だけ、あるいは甘い食品だけの朝食」と定義し、メタボリックシンドロームの判定には、国際糖尿病連合の診断基準を使った。内臓脂肪の蓄積、脂質異常、高血圧、高血糖といった要因が重なると、将来に2型糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなる。
調査の結果、朝食の質の悪い子供は、そうでない子供に比べ、27年後にメタボリックシンドロームを発症するリスクが68%上昇していることが判明した。社会経済的な要因や、喫煙やアルコール摂取、運動習慣などの影響を取り除いて調整した後も、この傾向が示された。
子供の頃に朝食をとらなかった子供は成長すると、特に空腹時血糖値が高くなり、内臓脂肪が蓄積しやすくなるという。
「不健康な朝食習慣とメタボリックシンドロームとの関連について、さらなる研究が必要ですが、朝食欠食が血糖値コントロールにマイナスの影響を与えることは、いくつかの先行する研究でも示されています」と、ウメオ大学のマリア ウェンベリ氏(公衆衛生学)は話す。
朝食を抜くと昼食までに空腹になり、食欲を抑えられなくなり、間食を欲しがるようになる。中途半端な時間に満腹になると、昼食を軽く済ませ、夕食までに再び空腹になり間食を繰り返してしまう傾向があるという。
イスラエルのテルアビブ大学の研究では、朝食を抜くと肥満になる確率が高くなることが示された。1日の早い時間帯に食べることで、日中のインスリン濃度や中性脂肪を低く抑えられ、脂肪が体内に蓄積しにくくなるという。
夕食が多い人に比べて、朝食が多い人は、食欲促進ホルモンのグレリンが低いレベルに保たれ、食事の満足感が大きかった。
欧米では朝食を欠食する習慣のある子供や若者は10~30%に上る。「若い頃から、健康的な朝食をとる習慣を身に付けることが大切です」と、研究者は述べている。
Poor breakfast in youth linked to metabolic syndrome in adulthood(ケンブリッジ大学 2014年1月28日)
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