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野菜のポリフェノールがコレステロール吸収を抑え肥満を防ぐ

 東京大学農学生命科学研究科食の安全研究センターの小林彰子准教授らによる研究グループは、腸管からコレステロールを吸収するタンパク質の吸収特性と、その働きを阻害するポリフェノールを明らかにした。
野菜のポリフェノールがコレステロールの上昇を抑える
 高コレステロール血症は、動脈硬化をはじめとする様々な疾患を引き起こすため、その予防は多くの先進国にとって重要な課題となっている。

 しかし、これまで腸管からコレステロールが吸収される仕組みについては、2004年に腸管でのコレステロール吸収に、コレステロール輸送体(コレステロールトランスポーター)であるタンパク質「NPC1L1」が重要な役割を果たしていることが発見されたが、詳しいメカニズムについてはほとんど明らかになっていなかった。

 今回の研究では、ヒトの腸管上皮のモデル細胞を用いて、コレステロールを吸収する際の時間依存性や濃度依存的な輸送活性などを解明した。

 ポリフェノールの一種でリンゴ、玉ねぎ、シソなどに含まれる「ルテオリン」と「ケルセチン」が、コレステロール吸収やコレステロール輸送を阻害することを発見した。

 NPC1L1を阻害する医薬品として使われている薬剤に「エゼチミブ」がある。「ルテオリン」および「ケルセチン」を培養し、コレステロールの吸収活性を測定したところ、エゼチミブと同様、長時間にわたってコレステロールの吸収を抑制する効果が確認されたという。

 これらポリフェノールの生体内における効果を調べるため、続いてラットにポリフェノールを経口摂取させた際の血中のコレステロール濃度も測定した。

 食事の0.5%にコレステロールが含まれている負荷食を与えたラットでは、食事にコレステロールが含まれていない普通食を与えたラットに比べて、血中コレステロール濃度が上昇した。

 これに対し、負荷食に加えてルテオリンおよびケルセチンを1日2回経口投与したラットでは、血中のコレステロール濃度の上昇が有意に抑制されており、高コレステロール状態が改善されることが確認された。

 「ルテオリン」はピーマン、セロリ、パセリ、シュンギクなどに、「ケルセチン」はリンゴ、玉ねぎ、ブロッコリー、モロヘイヤなどにも含まれる。野菜をたっぷり食べることが、コレステロールのコントロールに効果的だ。

食品ポリフェノールが腸管におけるコレステロール吸収を抑制するメカニズムを解明(東京大学大学院農学生命科学研究科 2014年5月29日)
[Terahata]
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