ニュース
認知症の国家戦略「新オレンジプラン」を決定 初期治療の支援を強化
2015年01月28日

厚生労働省は、2025年度までの認知症の予防法や診断・治療法の開発などを盛り込んだ国家戦略である「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を公表した。
2025年までに700万人が認知症を発症
厚生労働省は2013~17年度に「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を進めているが、安倍首相は昨年11月に東京都内で開かれた「認知症サミット」で、省庁横断的な認知症対策の国家戦略を策定する方針を表明。12省庁が共同で戦略をまとめた。
新プランでは、認知症の高齢者は増えており、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、5人に1人に当たる700万人が発症すると推計している。
12月27日の閣議後の記者会見で塩崎恭久厚労相は、「認知症施策は国をあげて取り組むべき課題。関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでいく」と述べた。
新プランは以下の7つの柱で構成されている。(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
(3)若年性認知症施策の強化
(4)認知症の人の介護者への支援
(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルの研究開発
(7)認知症の人やその家族の視点の重視
「初期集中支援チーム」を全市町村に導入
塩崎厚労相は「医療と介護を連携させる地域包括ケアの整備」「早期の発見・治療に向けた研究開発」を特に重視していると発言。
新プランでは、認知症サポート医やかかりつけ医の対応力の向上をはかるのに加え、歯科医師や薬剤師なども対象とした研修を実施する。
また、公的サービスがほとんどなかった発症初期に関し、自治体と医療機関が連携して、専門医の指導を受けた看護師、保健師が自宅訪問して相談や支援にあたる「初期集中支援チーム」を2018年までに全ての市町村に導入する。
全国レベルで認知症患者の症状や遺伝子のデータを集めて全国規模のコホート研究を行い、バイオマーカーの同定により認知症の早期発見や診断法を確立する。2020年ごろまでに日本発の新薬の開発に向けた治験を始めるとしている。
安倍総理大臣は、「認知症は世界共通の課題。もっとも早いスピードで高齢化が進む日本こそ、社会全体で認知症に取り組む必要がある」として、「患者の意思が尊重され、住み慣れた環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」と強調した。
「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について(厚生労働省 2015年1月27日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「地域保健」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月10日
- 緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下
- 2025年02月10日
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮