ニュース
アルコールを1日3杯以上飲むと肝臓がんのリスクは上昇
2015年04月02日
「世界がん研究基金」(WCRF)が、肝臓がんの発症リスクに関する報告書を発表した。1日3ドリンク以上の飲酒で肝臓がんのリスクは上昇するという。
アルコール摂取量が10g増えるごとに肝臓がんリスクは4%上昇
2012年の調査によると、世界で肝臓がんが原因で死亡した人は74万6,000人に上る。部位別にみると、肝臓がんは2番目に多い。
WCRFは報告書の策定にあたり、世界の肝臓がんに関する34件の研究を解析した。対象となったのは、2万4,600人の肝臓がん患者を含む815万3,000人の男女。
それによると、1日3ドリンク以上の飲酒をすると、肝臓がんを発症するリスクは上昇する。また、アルコールの摂取量が10g増えるごとに、肝臓がんのリスクは4%ずつ上昇していく。
飲酒量をアルコールに換算して分かりやすく表示する方法が多くの国で行われている。その基準となるのが「ドリンク」で、1ドリンクはアルコール換算で10gになる。
アルコールによる肝臓がんのリスクを減らすために、安全な飲酒量を、1日に男性は2ドリンクまで、女性は1ドリンクまでと定めている。それ以上飲むと、肝臓がんのリスクは上昇する。
2~3ドリンクの飲酒量は、アルコール度数5%のビールや発泡酒であれば500mL(中ビン・ロング缶1本)、12%のワインなら200mL(ワイングラス2杯)、15%の日本酒なら180mL(1合)に相当する。
一般に女性は男性に比べてアルコール分解能力が低いので、女性の飲酒量は男性の2分の1から3分の2程度を推奨している。
肥満と過体重も肝臓がんの原因に
肥満と過体重と肝臓がんとの関係も明らかになった。肥満・過体重により肝臓がんリスクは増加し、身長と体重から算出される肥満指数(BMI)が5増えるごとに、肝臓がんの発症が30%増えるという。
アルコールが原因となる肝臓障害のなかで、もっとも多いのが「脂肪肝」だ。アルコールをとりすぎると、脂肪酸から中性脂肪が大量に合成されて肝臓の細胞に蓄積されるため、脂肪肝が起こりやすくなる。余分な中性脂肪はさらに血液中にも流れ込み、高脂血症や動脈硬化の原因になる。
また、コーヒーを飲むことで、肝臓がんのリスクが1日1杯あたり、男性で14%低下するという結果が示された。ただし、性別で分析すると、女性では統計学的に有意といえるほどのリスク低下はみられなかった。
さらに、シリアル、スパイス、ピーナッツ、ピスタチオ、ブラジルナット、チリ、黒コショウ、乾燥果実などに付着することのあるカビの一種「アフラトキシン」は、肝臓がんのリスクを増やすので注意が必要だ。
Three alcoholic drinks a day can cause liver cancer(世界がん研究基金 2015年3月25日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「アルコール」に関するニュース
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月21日
- アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年07月18日
- 「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」 熱中症の予防・症状・応急手当を解説 厚労省
- 2023年07月12日
- 【アルコールと保健指導】「飲酒量低減外来」についてのインタビュー/面談時に30秒でできるアルコール指導ツールの紹介
- 2023年07月10日
- 「社会的孤立」が社会課題に 高齢者でもネットや動画による交流・社会参加は効果的 日本人を調査
- 2023年07月04日
- 肥満やメタボのある人はアルコールの飲みすぎにご注意 少し飲みすぎただけで肝臓へのダメージは大きい
- 2023年07月03日
- 「運動」+「減量」で肥満と糖尿病のリスクを減少 2つを実行するとインスリンが2倍効きやすい体に
- 2023年06月26日
- 「高齢社会白書」2023年版を発表 高齢者の社会参加が健康や生きがいを生み出す 各地の取組みも紹介 内閣府