ニュース
野菜と魚が中心の食事スタイルで大腸がんが40%減少
2015年04月02日

野菜中心の食生活によって、大腸がん(結腸がんと直腸がん)の発症リスクが22%低下することが、新たな研究で明らかになった。野菜と魚を食べるベジタリアンでは、大腸がんのリスクは43%低下した。
野菜と魚を食べると大腸がんは43%減少
米国ではすべての部位別がんの中で、大腸がんの死亡数が2番目に多い。大腸内視鏡検査などのスクリーニングが多く行われているが、がんの一次予防についての情報は不足している。
これまでの研究で、大腸がんの原因は赤身肉が中心の不健康な食事で、食物繊維が豊富の野菜中心の食事は予防に効果的であることが示唆されている。
米国のセブンスデー アドベンチストを対象とした研究で、ロマ リンダ大学のマイケル オルリッチ氏らは7万7,659人の男女を7年間追跡して調査した。期間中に、380人が結腸がんを、110人が直腸がんを発症した。
被験者の約半数は、週1回以上肉を食べる非ベジタリアンだった。解析した結果、非ベジタリアンに比べ、ベシタリアンでは大腸がんの発症が22%低下しており、結腸がんは19%し、直腸がんは29%、それぞれ低下したことが判明した。
ベシタリアンの中でも、肉は食べないが魚は食べる人たちにおいて、特に大きくリスクが低減されることも分かった。
大腸がんのリスクは、完全な菜食主義を続けているベジタリアンでは16%、ミルクと卵を摂取するベジタリアンでは18%、魚を食べるベジタリアンでは43%、それぞれ低下していた。
野菜は食物繊維が豊富に含まれ、また魚にはEPA・DHAといった二重結合をもつn-3系不飽和脂肪酸が含まれており、これらが大腸がんを予防することは、過去の研究でも確かめられている。
「野菜中心の食事スタイルは、肥満、肥満、高血圧、2型糖尿病のリスクを低減する上でも有用です。野菜を多く食べる人は、運動や禁煙といった面でも健康的である傾向もみられます。食事指導に菜食を含めるべきか、さらに研究を重ねて検討する必要があります」と、オルリッチ氏は述べている。
Vegetarian Diet Linked to Lower Risk of Colorectal Cancers(JAMA Internal Medicine 2015年3月9日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「栄養」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
- 2025年07月08日
- 「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
- 2025年07月07日
- 日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市