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医薬品の過量服薬 抗不安薬・睡眠薬が原因 注意深い処方が必要

 医薬品の過量服薬を原因とする急性中毒には、抗不安・睡眠薬の多量投与などが関連していることが、医療経済研究機構の調査で明らかになった。
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬の過量服薬が増加
 最近の調査によると、うつ病などで精神科や心療内科を受診している患者が、医師から処方された抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などを、指示された服薬量よりも過量に摂取する「過量服薬」が増えているという。

 過量服薬の背景には、患者側の立場からみると、症状が改善せずやむなく投与する薬剤の量や種類が増えてしまう長期投与への依存がある。患者に薬物への依存という認識が不足しており、医師に処方を求めてしまうというケースも少なくない。

 診療側からみると、患者の症状にあわせて投薬をした結果、投薬量が増えてしまったり、他の医療機関から重複して処方を受けていても分からない場合があるという。

 薬剤の種類はできるだけ少なくするのが基本だが、日常診療の中で、患者1人ひとりに十分な診療時間を確保することができず、結果として多種類の薬剤を処方してしまうという現状がある。
「向精神薬の処方実態」を調査する方針
 医療経済研究機構の調査で、過量服薬を原因とする急性中毒患者には、直近に抗不安・睡眠薬の多量投与などが関連していることが明らかになった。

 厚生労働省は、過量服薬の問題への対策を推進するために、2010年に「過量服薬への取組―薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向けて」という指針を公表。その中で、「向精神薬の処方実態」などを調査していく方針が定められているが、これまで、過量服薬の発生前に、どのように薬が処方されているかについては、ほとんど調査が行われていなかった。

 研究では、健康保険組合加入者172万人のレセプトデータベースを用いて、過量服薬患者が受診する前、6ヵ月間の向精神薬の処方状況を検討した。

 2012年10月から2013年11月までに受診した過量服薬患者351人を症例群、また、過量服薬患者群と性別・年齢が近似するうつ病患者1,755人を過量服薬のハイリスク対照群とし、両群について、6ヵ月前における向精神薬の処方状況を比較した。

 その結果、過量服薬患者351人のうち、62%に抗不安・睡眠薬、44%に抗うつ薬、31%に抗精神病薬、20%に気分安定薬が、過量服薬の発生前180日以内に処方されていた。また、直近の処方時期は、90日以内が93~96%に上った。
 抗不安・睡眠薬の90日以内の処方状況をみたところ、過量服薬患者群(351人)では、23%に高用量処方、5%にバルビツール酸系睡眠薬処方、3%に重複処方がみられた。バルビツール酸系は、誤って大量に服用すると生命を失う危険性がある睡眠薬だ。

 一方、うつ病患者群(1,755人)では、7%に高用量処方、1%にバルビツール酸系睡眠薬処方、1%に重複処方がみられた。
薬物療法によるベネフィットと過量服薬のリスクを勘案
 患者が以前に処方された薬剤を服薬せずにストックし、過剰摂取している場合は、医師や薬剤師が過量服薬の発生予防に寄与することは難しいが、「大部分の患者は、少なくとも過量服薬の発生90日前までは治療継続しているため、服薬状況の確認など医師や薬剤師による関与の機会はある」と、同機構を指摘している。

 過量服薬(医薬品過剰摂取)による急性中毒は、入院日数が短いなど良好な経過をたどる一方で、救急医療体制への負担が大きく、三次救急医療機関への搬送割合が高いことが判明している。精神科医師には、薬物療法によるベネフィットと過量服薬のリスクを勘案し、注意深い処方の見直しが求められている。

医療経済研究機構
[Terahata]
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