ニュース

アスパラガスが高血圧の予防に効果 血圧を下げる化合物を発見

 理化学研究所の研究チームが、アスパラガスに含まれる血圧を下げる化合物を発見した。アスパラガスは高血圧の予防に効果があるとされるが、世界ではじめて血圧を下げる化合物を特定するのに成功した。
メタボロミクスの最新の成果を応用
 研究チームは「メタボロミクス」を用いて、血圧の上昇に関与するアンジオテンシン転換酵素(ACE)に対して阻害活性を示す含硫黄代謝物をアスパラガスから発見するのに成功し、「アスパラプチン」と命名した。

 「メタボロミクス」は、生命活動により生じるさまざまな代謝物を網羅的に検出・解析し、生体内の生命現象を包括的に調べる手法。

 特に植物界に広く分布している含硫黄代謝物は、抗炎症作用、抗酸化作用、抗ガン作用などの健康増進に総益な活性を示すことから注目を集めている。

 中でもアスパラガスの抽出物は、血圧降下作用を示すことが知られており、活性成分の解明が求められていた。

 同研究チームは、「S-オミクス」を用いて47種類の植物の凍結乾燥粉末サンプルにおける含硫黄代謝物の網羅的な解析を実施した。

 S-オミクスは、「フーリエ変換型イオンサイクロトロン共鳴分析計」(FTICR-MS)を導入して、硫黄を含んだ二次代謝物を網羅的に分析することが可能な新しい技術だ。

 その結果、アスパラガスからアルギニンとアスパラガス酸で構成される化合物「アスパラプチン」を発見した。
アスパラプチンの血圧降下作用を確認
 ACE阻害活性試験の結果、アスパラプチンの50%阻害活性濃度は113μMであり、その阻害活性には結合体におけるアスパラガス酸が必須であることが判明。

 また、定量試験の結果からアスパラプチンはアスパラガスに251mg/kg新鮮重(水分を含んでいる状態の重さ)含まれていることが分かったという。

 さらに、アスパラガスの種類ごとにアスパラプチンの定量検査を行った結果、パープルアスパラガスよりもグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスで比較的多く含まれることが判明した。

 今後は、アスパラプチンの血圧降下作用を詳細に調べ、アスパラプチンを健康機能性食品や医薬品などへ応用する研究を始める。

 また、今回の研究により、S-オミクスが新規含硫黄代謝物の効率的発見に有効であることが分かった。今後、S-オミクスによって医薬品や農薬に有益な活性を示す化合物の探索研究が大きく進展することが期待できるとしている。

 この研究は、理化学研究所環境資源科学研究センター統合メタボロミクス研究グループの中林亮研究員、斉藤和季グループディレクター、楊志剛元特別研究員らの研究チームによるもので、米科学誌「Journal of Natural Products」のオンライン版に発表された。

理化学研究所環境資源科学研究センター
[Terahata]
side_メルマガバナー

「栄養」に関するニュース

2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年02月03日
良い睡眠は肥満や高血圧のリスクを減らす 日本人の睡眠は足りていない 3つの方法で改善
2025年01月23日
大腸がんが50歳未満の若い人でも増加 肥満のある人は大腸がんリスクが高い 予防に役立つ3つの食品とは?
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶