ニュース

脳卒中全国ワーストから脱却 岩手県が「いわて減塩・適塩の日」を設定

 岩手県は脳卒中による死亡率の全国ワーストから脱却しようと、「岩手県脳卒中予防県民会議」を展開している。このほど食生活の改善を推進するために、毎月28日を「いわて減塩・適塩の日」に設定することを決めた。
毎月28日は「いわて減塩・適塩の日」
 岩手県は脳卒中による死亡率の全国ワーストから脱却しようと、2014年9月に「岩手県脳卒中予防県民会議」(代表・達増拓也知事)を設立した。盛岡市で開かれた同県民会議の2015年度総会では、産学官の連携を強化し、事業計画案の新規事業に取り組むことを発表した。

 同県民会議は、同県の脳卒中死亡率が全国でもっとも高く、ワーストからの脱却を目指して設立された。企業・団体の参加数は設立時の103団体から301団体に拡大した。

 食生活の改善運動などを推進するために、毎月28日を「いわて減塩・適塩の日」に設定すると決めた。高血圧から脳卒中につながる過剰な塩分摂取を改め、適塩メニューの提案や健康づくりイベントなどで減塩の意識を高めるキャンペーン活動を展開していく。
脳卒中の死亡率 岩手県は全国ワースト 過剰な食塩摂取が原因
 厚生労働省が実施している「人口動態統計」では、全国の脳卒中死亡率を調査している。2010年の調査によると、人口10万人あたりの脳卒中の死亡率の上位10県は、男性では東北地方に集中している。なかでも岩手県は70.1人でワーストとなっており、全国平均の49.5人に比べ際立って高い。

 脳卒中の大きな原因は高血圧だ。高血圧が続くと、動脈硬化が起こりやすくなり、血管が破れたり詰まったりしやすくなる。岩手県で脳卒中の死亡率が高い要因として、県栄養士会では塩分を多く摂取する食習慣を指摘している。

 岩手県民の1日平均の食塩摂取量は11.8gで、全国でもっとも高い値であり、全国平均より1g以上も多い。「冬に野菜を食べるのに貯蔵する手段が漬け物で、料理の味付けにも食塩が欠かせない。塩分に体が慣れてしまい、どの料理も塩分が多くなる"食塩中毒"に陥っている」と、県栄養士会は指摘している。

 「減塩・適塩の日」には、食品スーパーなどの協力を得て減塩・適塩メニューの試食や提案する献立表の配布を実施するとともに、地域住民が集う健康づくりイベント会場や街頭でキャンペーン活動を推進する。

 岩手県久慈保健所チームが考案した塩分を控えた定食メニュー「アマノミクス定食」は、国立循環器病研究センターが、塩分を控えながらもおいしく食べられる料理を全国から募集する「S-1グランプリ」の、初代グランプリに選ばれた。

 焼き豆腐のステーキに、ホウレンソウのあえ物など全部で5品。塩を使わずにゆずやショウガを使うことで、しっかり味付けする工夫をこらしており、塩分はたったの1.2gしか使っていない。
健康づくりへの取組みは地域社会が中心
 取り組みのひとつとして、各家庭に地元の主婦が塩分測定器を持って訪問する「隣のおみそ汁」調査を開始し、5年間で1万世帯以上の訪問を目指している。

 参考にしたのは長寿日本一の長野県。1981年から3年間の「県民減塩運動」でみそ汁の塩分測定などを行い啓発活動に努めたところ、主婦の1日の摂取塩分量は約5g減少したという。

 「健康づくりへの取組は、これまで、個人に対する取組みが中心でしたが、今後は、個人への対策だけでは解決できない課題への取組みとして、地域社会の健康づくりを進めていくことが必要です」と、同県民会議では強調している。

 今年度事業計画では、8月1日に盛岡市で脳卒中予防県民大会を開催するほか、食生活改善キャンペーン事業を展開する。

 健康運動事業として優良な取り組みを率先している企業・事業所を表彰する制度を創設し、いわて国体を機に健康運動の習慣を定着させる試みや、禁煙推進事業の継続なども掲げている。

岩手県脳卒中予防県民会議を設立(岩手県 2014年9月16日)
第1回S-1g(エス・ワン・グランプリ)大会 結果発表(国立循環器病研究センター)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶