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食物繊維を多くとると2型糖尿病や肥満のリスクを下げられる

 食事で食物繊維を多く摂取している人は、2型糖尿病のリスクが低く、体重コントロールも良好である傾向があることが、欧州の約3万人を対象とした研究で明らかになった。研究結果は欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「Diabetologia」に発表された。
食物繊維をとると糖尿病リスクが18%低下
 ケンブリッジ大学のニック ウェアハム教授らの研究グループは、欧州の8ヵ国の2万9,000人以上を平均11年間追跡した大規模研究をもとに、1日にどれくらい、どんな種類の食品を食べれば、肥満や糖尿病のリスクを下げられるかを調査した。

 今回の研究は、欧州で実施されているがんと栄養に関する前向きコホート研究「EPIC」の一環として行われている「EPIC-InterAct」研究の調査を解析したもの。1万1,559人の2型糖尿病患者と、1万5,258人の糖尿病ではない人を比較して、毎日どんな食事をしているかを調べた。

 その結果、食事中の食物繊維が1日26g以上ともっとも多いグループでは、1日19g未満ともっとも少ない群にグループに比べ、2型糖尿病の発症が18%低下することが明らかになった。
雑穀をミックスさせたシリアルが人気
 欧州で人気のあるシリアルは、大麦やオーツ麦、ライ麦、玄米、ふすまなどの雑穀に、ナッツ、乾燥果実などを加えたグラノーラだ。食物繊維やビタミン、ミネラルなどを手軽に摂れる栄養機能食品として注目されている。

 食物繊維の供給源としては、野菜よりもシリアルの方がメリットが多いことも明らかになった。2型糖尿病の発症リスクは、野菜を多く摂取したグループで16%低下したのに対し、シリアルを多く摂取したグループでは19%低下した。

 参加者は平均して食物繊維の38%をシリアルからとっていたが、フランスだけは野菜が主な食物繊維の供給源になっていた。

 調査結果を体格指数(BMI)で調整したところ、食物繊維を多く摂っている人ほど肥満が少なく、2型糖尿病の発症リスクも低下することが示された。

 研究では、米国、欧州、オーストラリア、アジア地域で行われた18件の前向き研究の解析も行った。やはり、食物繊維の摂取量が増加するにつれ2型糖尿病のリスクは低下することが明らかとなった。
食物繊維が糖尿病リスクを下げる理由
 「食事で食物繊維をとることが重要であることが確かめられました。食物繊維を十分にとる食事指導が、肥満や2型糖尿病を予防・改善するために必要です」と、ノルウェー科学技術大学のダゴフィノ アウネ氏は言う。

 「食物繊維を摂ることが、体重コントロールや、糖尿病リスクの低下につながることを示した研究は過去にも発表されていますが、今回のような規模の大きい調査ははじめてです」と、アウネ氏は指摘する。

 食物繊維が糖尿病リスクを下げる理由について、全てが解明されているわけではないが、研究者は食物繊維のメリットとして次のことを挙げている――

・ 食物繊維を含む食品から食べはじめると血糖値の上昇を抑えられる
 吸収の早い糖類中心の食事をとっていると、食後血糖値が上昇し、血糖値を下げるインスリンが余分に分泌されやすい。インスリンにはブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄える作用もあり、食後高血糖が続くと中性脂肪も高くなってしまう。

・ 食物繊維をとると食事を適正な量に抑えられる
 食物繊維が多い食品を食べると、胃から小腸への移動時間を遅らせたり、小腸での消化・吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の急上昇を防ぐことができる。
 また、食物繊維が多いと、満腹感が得られやすいので、食事の全体量を減らすことができ、減量につながる。

・ 食物繊維は満腹感を持続させて空腹感を減らす
 食事によって小腸から分泌される「インクレチン」と呼ばれる消化管ホルモンの分泌が刺激される。このホルモンは、インスリンの分泌を促して血糖値を下げるだけでなく、脳の中枢神経に働きかけて食欲を抑える作用がある。
 食物繊維の多い食事をすると、インクレチンの分泌が刺激されると考えられている。食物繊維は、満腹感をもたらすだけでなく、食欲を抑制する働きがある。また、インクレチンは腸内細菌の作用も受けている。食物繊維をとることで、腸内細菌のバランスが改善し、インクレチンの分泌が増える可能性がある。

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Study adds to evidence that increasing dietary fiber reduces the risk of developing diabetes(欧州糖尿病学会 2015年5月26日)
Dietary fibre and incidence of type 2 diabetes in eight European countries: the EPIC-InterAct Study and a meta-analysis of prospective studies(Diabetologia 2015年5月29日)
[Terahata]
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