ニュース
デング熱などに対応できる医療機関のリストを公開 日本感染症学会
2015年07月29日

日本感染症学会は、デング熱の検査や治療の専門医が在籍し、入院の有無や患者受け入れの相談にも対応できる医療機関のリストを発表した。
デング熱が疑われるときはかかりつけ医や診療所を受診
「蚊媒介感染症」とは、病原体を保有する蚊に刺されることによって起こる感染症をさす。代表的な蚊媒介感染症には、ウイルス疾患であるデング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、原虫疾患であるマラリアなどがある。
日本では日本脳炎が国内流行したことがあるが、それ以外の蚊媒介感染症は輸入感染症として海外から持ち込まれていた。しかし、2014年の夏に東京都内代々木公園及びその周辺で、70年ぶりにデング熱の国内流行が報告され、約160例のデング熱患者の発生が確認された。
デング熱などが疑われるとき、患者はまずかかりつけ医や近隣の診療所といった一次医療機関を受診することになる。
一次医療機関が専門医療機関に、デング熱などが疑われる患者の診断・治療や入院の要否、必要に応じた患者の受け入れなどについて相談する体制が必要とされている。
そこで、同学会は、この一次医療機関などからの症例に関する病原体検査の必要性や、外来受診および入院適応に関する相談への対応を行う蚊媒介感染症専門医療機関国内ネットワークを立ち上げ、「蚊媒介感染症専門医療機関」を公表した。
デング熱とチクングニア熱に対応できる専門医療機関を公開
国内発生の可能性のある感染症はデング熱、チクングニア熱だ。リストではこの2つの感染症の診療にあたる専門医療機関を公開している。
リストで公開されているのは、東京大学医科学研究所附属病院など、44都道府県の154ヵ所の病院。「指導助言のみ」「軽症者のみ対応」「重症のみ受け入れ」「対象は高齢者のみ」といった特記事項も記載している。
ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)は、デング熱やチクングニア熱の媒介蚊でもあり、今後は、一次医療機関において、この2つの感染症が疑われる患者を診察する機会が増加することが予想される。
なお、マラリアには抗マラリア薬による治療が有効だが、デング熱、チクングニア熱に対しては解熱薬の投与や輸液などの対症療法が中心になる。
そのため、同学会は一般市民に対し、デング熱、チクングニア熱を媒介するヤブ蚊(ヒトスジシマカ)に刺されないための予防対策を心がけるよう呼びかけている。
蚊媒介感染症専門医療機関一覧(日本感染症学会)デング熱・チクングニア熱の診療ガイドライン(厚生労働省)
デング熱診療の流れ(日本感染症学会)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】