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熱中症を予防するための5ヵ条 症状と対策を知れば熱中症を防げる

 各地で蒸し暑い日が続く中、熱中症で病院に運ばれる人が増えている。熱中症は、気温が高いなどの環境下で、体温調節の機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうことで起こる。気温の上がる夏に起こりやすいが、温度だけでなく湿度も影響する。熱中症の事故は、適切な予防措置を行えば防げる。
屋内にいても熱中症の発症リスクはある
 熱中症の救急搬送者数は激増している。2009年は1万人余りだったが、記録的な猛暑となった2010年には5万人超に増え、同じく猛暑が続いた2013年には6万人近くに上昇した。年齢別では65歳以上が半数を占めた。

 熱中症は、高温多湿な環境で、周りの温度に体が対応することができず、体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かなくなると発症する。体温が上がり、めまいや大量の汗、頭痛、吐き気、食欲不振、体のだるさなどを引き起こし、重症になると意識を失うこともある。
 以前は、昼間は暑くても夜は気温が下がっていたが、近年の都市部では、最高気温が30度以上の「真夏日」や、最低気温が25度以上の「熱帯夜」が、30年前に比べ、ほぼ2倍に増えている。高い気温が連続する時間が増加しているため、熱中症を起こすリスクは高まっている。

 また、野外で運動やスポーツをすると熱中症を発症しやすいが、最近は屋内にいる人が発症するケースも増えている。特に高齢者は、暑さを感じにくい上に体温調節機能の大切な役割を果たしている発汗と血液循環が低下し、暑さに対する抵抗力も少なくなっている。

 また、のどの渇きを強く感じないため、水分不足になりがちで、気づかないうちに熱中症を起こしてしまう場合もある。熱中症を予防するために、十分な対策が必要だ。
大量の発汗やめまいは熱中症の症状
 では、具体的に、熱中症になるとどのような症状が現れるのだろうか。日本救急医学会では、熱中症の症状を、重症度によってI度からIII度までの三つに区分することを推奨している。熱中症は急速に症状が進行し、重症化するので、軽症の段階で早めに異常に気づき、応急処置をすることが重要だ。
熱中症が疑われる人を見かけたときは
・ 自覚症状のあるI度の軽症である場合は、すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移す。
・ 衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やす。
・ たくさん汗をかいた場合は、冷たい水と塩分を補給する。
・ 自分の力で水分の摂取ができなくなったり、意識障害がみられるIII度の重症である場合は、すぐに病院に搬送する。
熱中症予防の基本は「水分補給」をこまめにすること
 もし熱中症かなと思ったら、早めに対処することが重要だ。体の中の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となる。

 「のどが渇く」のは「体内の水分が不足している」というサイン。汗と尿の量がいつもより少なくなったり、尿の色がいつもより濃くなったら要注意だ。

 運動中や運動後に必要な水分を摂取するだけでなく、運動の前にも水分補給をこころがけたい。暑くて湿度が高い環境では、喉の渇きを感じてから水分を補給しても間にあわない場合がある。

 外出する際は帽子をかぶるなどして直射日光を避け、体調が悪いときは無理をしないようにしよう。汗を吸収してくれる吸水性に優れた素材の服や下着を着ると効果的だ。また、えり元をなるべくゆるめて、熱気や汗が出ていきやすいように通気しよう。

 食事をきちんととれていれば、日常で必要な塩分を補充できているので、特に塩分をとる必要はないが、運動などで大量に汗をかいたり脱水気味のときには、低カロリーのスポーツドリンクや食塩を少し加えた水で塩分を補給する必要がある。

 夜寝ている間は水分補給をしないので、寝る前や、起きた後にはコップ1杯程度の水分をとるようにしよう。
エアコンや扇風機を上手に活用する
 エアコンや扇風機も上手に使おう。節電は大事だが、熱中症になってしまっては元も子もない。エアコンは、自動調節、就寝中用の機能やタイマーなどを上手に利用するとよいだろう。

 体感に頼らず、温度計、湿度計で温度や湿度を確認し、室温は28℃以下に、湿度は70%以下を目安に調整する。

 扇風機を使い室内の空気を程よく循環させると、エアコンの設定温度を低くしなくても室温を下げることができる。窓をすだれやカーテン、つる性植物を使った「緑のカーテン」などで覆い、直射日光を遮断するのも有効だ。

 高齢者や神経障害のある人は発汗が乏しくなり、体温調節が上手にできないことがある。また、加齢とともに、汗をかく量が減少する。汗が皮膚から蒸発するときに熱が奪われて体温が下がるため、汗の量が減ると、体温調節がしにくくなる。

 部屋が暑いときに、「エアコンのスイッチを入れる」、「冷たい飲み物を飲む」など、熱中症の危険を察知して回避する行動ができない場合がある。体感だけに頼るのではなく、温度計や湿度計を活用し、温度や湿度が目に見えるようにしておくことが大切だ。
環境省が公開する暑さ指数(WBGT)を活用
 高温注意情報は、テレビやラジオの天気予報のほか、気象庁ウェブサイトで知ることができる。気象庁ウェブサイトでは、高温注意情報が発表されていないときでも、翌日または当日の予想気温を毎日グラフで表示している。

 環境省は熱中症予防情報サイトを開設し「暑さ指数(WBGT)」を公表している。気温や湿度、放射熱をもとに、「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」「ほぼ安全」という5段階で指数化している。

 同サイトでは、全国841地点で、当日、翌日、翌々日の3時間毎の暑さ指数の予報値および現在の暑さ指数の値を色分けて公開している。

 これらの情報も活用し、暑さから身を守ることができる。熱中症予防サイトはスマートフォンにも対応し、無料のメール配信サービスも利用できる。

 危険な場合は外出をなるべく避け、涼しい室内に移動することが勧められる。熱中症は、「暑さを避ける」、「部屋を涼しくする」、「休憩をとる」、「水分をとる」、「栄養をとる」で防げる気象災害だ。

 屋外での運動は、気温が35℃以上の「厳重警戒」の場合は中止する。外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
 もし熱中症かなと思ったら、早めに対処することが重要だ。大量の汗をかいたりめまいを感じたりした際は、涼しい場所に移って体を冷やし、水分や塩分を取る。自分で水分・塩分を取れないほど体がだるければ、すぐ医療機関を受診しよう。

低ナトリウム血症に注意
 運動時に水やスポーツドリンクにより水分を過剰に摂取すると、「低ナトリウム血症」(EAH)と呼ばれる状態に陥るおそれがある。運動時に汗を大量にかいて水分補給をするときは、塩分も補給することが必要だ。

 低ナトリウム血症は、汗とともにナトリウム(塩分)が失われ、血液中のナトリウム濃度が極度に低下した状態。頭痛や吐き気、食欲不振などの症状があり、重症化すると昏睡や痙攣などが現れることもある。

 米国のバージニア大学ヘルス システムのマイケル ロスナー氏は、「発汗量を超えた水分の摂取は危険をまねく。水分を過剰に摂取しないようにして、塩分の摂取も忘れないようにすることが重要」と述べている。

 脱水を防ぐために適度な水分補給は必要だが、スポーツ飲料は高カロリーで、ナトリウム(塩分)の濃度が低いものが多いので注意が必要だ。

 「一般的なスポーツ飲料は普通の水よりも浸透圧が高いが、正常な血液のナトリウム濃度に比べると浸透圧が低いものが多い。一度に飲み過ぎると血液中のナトリウム濃度を維持できなくなる」と、ロスナー氏は説明している。

 過去の研究で、マラソン選手が喉の渇きに応じて水分を摂取すると、血液の浸透圧が維持されたと報告されている。「運動時には喉の渇きを目安にして、水分と塩分を適宜とるようにすると、低ナトリウム血症になりにくい。一度にスポーツ飲料を大量に摂取しないようにした方が良い」とロスナー氏はアドバイスしている。

Experts: Overhydration potentially deadly for athletes(バージニア大学 2015年7月9日)
Preventing Deaths Due to Exercise-Associated Hyponatremia: The 2015 Consensus Guidelines(Clinical Journal of Sports Medicine 2015年7月)
[Terahata]

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