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働く女性の健康管理の実態調査 女性の健康障害に対するケアが不足
2015年08月05日
女性の職場進出の拡大に伴い、女性が安心して働くことができるよう医療面でのサポートが求められている。女性特有の更年期障害、月経不順などの健康障害や妊娠・出産・育児、家庭環境への配慮が不足していることが明らかになった。
都心で働く女性は痩せすぎ?
都心で働く若い女性の3割近くは、BMI(体格指数)の19以下の「痩せ」で、仕事の忙しさから朝食欠食率が高く、摂取エネルギー1,500kcal未満――東京・丸の内で実施された調査で、こんな傾向が分かった。妊娠、婦人科疾患などへの影響が懸念されている。
「まるのうち保健室」は、三菱地所が2008年から行っている「食育丸の内プロジェクト」の一環で、一般社団法人ラブテリと共同で2014年9月から約半年間、骨密度測定や管理栄養士によるカウンセリングを実施した。
20~30代の女性749人を対象にした調査では、肥満度を示すBMIの19以下の「痩せ」の比率は28%だった。痩せ過ぎの女性では、子宮内膜症などの婦人科疾患や骨密度減少リスクの上昇が懸念される。
女性の痩せと婦人科疾患のリスクとの関連について「知っていた」と答えた女性は、全体の44%にとどまった。同社では「痩せた女性の増加が不妊症および介護者の増加、ひいては医療費増につながる」としている。
就業時間が長いほどエネルギー摂取量が低下
さらに、20~30代女性の1日の食事で摂取する標準的なエネルギー量は2,000kcalだが、調査に参加した女性の平均摂取エネルギー1,479kcalだった。主な原因は朝食欠食で、朝食欠食率は36%だった。
模範就業時間である週41~60時間を超えると就業時間に比例し、エネルギー摂取量が低下する傾向があることも判明。摂取エネルギー量低下と比例して、鉄分・カルシウム・亜鉛・食物繊維などの摂取量が低下し、逆にアルコールと脂肪の摂取量が増える傾向が示された。
就業時間が101時間を超える女性では、「体型を気にして深夜の夕食を抜く・減らす」「食べたとしても遅い時間に食べた影響で、翌朝に朝食を食べられない」という声が寄せられた。
パートや自営の女性の方が死亡リスクが高い
日本の働く中高年女性1万7,000人を調べた研究では、パートや自営の女性の方が常勤の女性よりも死亡リスクが高いと判明した。
この研究は、大阪大学大学院医学系研究科の本庄かおり氏(公衆衛生学)によるもので、公衆衛生学の学術誌「Journal of Epidemiology & Community Health」に発表された。
本庄氏らは、日本の大規模研究である「JACC study」に参加した40~59歳の女性1万6,692人を、20年間以上にわたり追跡調査した。就業形態の内訳は、(1)常勤5,126人、(2)パートタイム6,698人、(3)自営業4,868人。追跡期間中に1,019人(6%)が死亡した。
その結果、死亡リスクは常勤に比べてパートタイムで1.48倍、自営業で1.44倍高かった。就業の形と死亡リスクの関連は、特に教育レベルが低い人たちで強かったという。
また、独身の自営業の女性では、既婚の自営業の女性に比べて死亡リスクが高い傾向にあることも判明した。
女性一人ひとりに個別化した支援(保健指導)が必要
女性の健康増進について考える場合には、単に労働時間の長さや負荷だけでなく、生活全般に目を向ける必要性が高い。
男性に比べて女性の方が、同じ労働時間、同じ通勤時間の場合には、家庭内役割や身支度などに費やす時間が長く、睡眠時間がより短縮しやすい傾向にある。
一方で、健康増進については、多くの職場で女性に対する特別の配慮は実施されていない。女性労働者の産業保健サービスのニーズは、子宮内膜症、子宮がん、乳がん、更年期障害などの健康問題、職場のメンタルヘルスや喫煙対策など多様化している。
男性と女性では、生活習慣病の発生率が高まる年齢も異なる。例えば総コレステロールが同じ検査値であっても心筋梗塞の発生率に差が存在する。
「多様化している健康問題に関して、女性労働者自身が解決やコントロールする力を付けることが大切であり、解決のための方法の活用について個別的な支援(保健指導)が必要」と、研究者は述べている。
食育丸の内プロジェクトEmployment situation and risk of death among middle-aged Japanese women(Journal of Epidemiology & Community Health 2015年6月4日)
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