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乳がんと胃がんの自治体検診を見直し 乳がん検診はマンモグラフィ必須

 厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(座長:大内憲明・東北大学医学部長)は、自治体が行う乳がんと胃がんの検診について提言をまとめた。同省は提言にそって検診実施指針を改正し、早ければ来年度からの検診に反映させる。
乳がん検診はマンモグラフィが必須 検診間隔は2年に1度
 日本では年間に8万人以上が乳がんを発症し、1.3万人が死亡している。若年層の女性で乳がんの発症が増えており、50歳以上では死亡が増加している。

 乳がんを早期発見するために、1987年度から自治体で問診および視触診による乳がん検診が開始され、2004年度から指針で40歳以上の女性に対し、視触診およびマンモグラフィ(乳房エックス線撮影検査)併用によるがん検診を2年に1回実施することが定められた。

 今回の提言では、乳がんの検診方法として、▽マンモグラフィによる検診を原則として、▽医師が見たり触ったりして確認する「視触診」は必須ではなく、マンモグラフィと併用して実施する方針が定められた。対象年齢は40歳以上で、検診間隔は2年に1度としている。

 しこりを発見する視触診については、患者自身の自己触診も含め、臨床の場で乳がんが発見されるケースが多いが、最適な検査法ではないとしている。視触診の手技に十分に習熟していない医師が実施することも多く、精度の面で問題点が指摘されている。

 一方で、マンモグラフィは高濃度乳腺が多い日本人女性では、40歳代の女性でのがん発見率の低さや偽陽性率の高さが指摘されており、超音波検査の併用により発見率が高まることが研究で示されている。

 超音波検診については、対策型検診として導入される可能性があり、実施体制などについて引き続き検証が必要としている。

 2015年の調査によると、乳がん検診は全自治体で実施されているが、受診勧奨を毎年実施しているのは28.9%、超音波検査を実施しているのは31.9%にとどまる。
胃がん検診はエックス線検査か内視鏡検査で 対象年齢は50歳以上
 胃がん検診については、▽バリウムを飲む現行の胃エックス線検査、もしくは新たに導入する内視鏡検査を行い、▽対象年齢を現在の40歳以上から50歳以上に引き上げ、検診間隔を2年に1回に変更することが提言された。

 日本では、年間13万人が胃がんを発症しており、4.8万人が死亡している。がんのうち、胃がんは罹患の第1位、死亡の第2位になっているが、胃がん検診が普及した影響で、胃がんの死亡率は減少している。1990年に比べ、直近のデータでは40~49歳の死亡率は男女ともに6分の1に減少している。

 胃がんの胃内視鏡検査では、胃エックス線検査に比べ、感度が高く、胃がんの発見率が高いというメリットがある。国立がん研究センターが、国内や韓国の研究で、内視鏡検査は死亡率を下げることが確認できたと発表したことをふまえて推奨を決めた。

 胃内視鏡検査はエックス線検査に比べて、がんを確実にみつけることができるが、のどの麻酔によるショックや、鼻や粘膜裂創の出血、穿孔などの偶発症がある。内視鏡検査に伴う危険に対処できる体制が必要とされている。

 現在、胃がん検診は99.8%の自治体で実施されている一方で、胃内視鏡検査は20.4%にとどまる(2015年調査)。胃内視鏡検査はエックス線検査よりも費用がかかり、検査を実施する医師や医療機関の確保が必要という課題もある。

 現状では胃内視鏡検査を助成している自治体は一部だけだが。今後、胃がん検診に対する指針が変われば、全国的にも拡大する可能性がある。

 ヘリコバクター・ピロリ抗体検査については、現時点では死亡率の減少効果を示したエビデンスが不足している。ヘリコバクター・ピロリの40~49歳の感染率は1992年には80%だったが、近年は40歳代で50%以下になっており、各年齢層で減少している。

 日本のがん検診の課題は、国の指針以外の検診を実施している自治体が1,000を超え、科学的根拠にもとづく検診の実施が十分に行われていないことや、検診実施率が40%程度と低いことだ。2012年に決定されたがん対策推進基本計画では、がん検診の受診率を5年以内に50%(胃、肺、大腸がんは40%)に引き上げることを目標としている。
第15回がん検診のあり方に関する検討会(厚生労働省2015年7月31日)
[Terahata]

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