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「人食いバクテリア」患者数が過去最多 高齢者で病状が急速に進行

 手足の壊死や多臓器不全を引き起こして死に至ることもある「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の今年の患者数が8月中旬で284人となり、過去最多を更新したことが国立感染症研究所(感染研)のまとめで分かった。
突然後3日以内に死亡することも 早期治療が不可欠
 「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」は「人食いバクテリア」とも呼ばれており、高齢者が重症化しやすいため、感染研は、手足の腫れや激しい喉の痛みなど感染が疑われる場合は、早急に医療機関を受診するよう注意を呼びかけている。

 感染研によると、年間の患者数は昨年が273人で調査を始めた1999年以降で最多だった。今年は8月16日時点で既に上回っており、都道府県別では東京45人、大阪28人、神奈川20人、千葉、兵庫両県各15人−−の順に多かった。

 感染研の感染症発生動向調査によると、2015年第32週(8月3日~8月9日)時点での累積報告数は279件。2014年(第1週~第52週)の累計報告数273件を超え、1999年以降でもっとも多い件数となっている。都道府県別では東京(45人)、大阪(28人)、神奈川(20人)、千葉県(15人)、兵庫県(15人)−−―の順に多かった。

 東京都感染情報センターによると、レンサ球菌に感染しても無症候のことも多く、ほとんどは咽頭炎や皮膚の感染症にとどまるが、まれに通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉など)に菌が侵入することで、重篤な疾患を引き起こすことがあるという。

 特に持病を持っていないにも関わらず、突然発症し、発熱や悪寒などの風邪様の症状、四肢の疼痛や腫脹、創部の発赤などがみられ、急速に病状が進行し、数十時間以内には血圧低下や多臓器不全からショック状態に陥り、死に至るケースもある。

 治療にはペニシリン系の薬剤の投与が一般的だが、昨年までの3年間に報告された712人の患者のうち、死亡した207人の多くが発病して3日以内に死亡しており、早期治療が不可欠とされる。

 また死亡した患者の年齢は60代から70代が多く、糖尿病やがんなどの基礎疾患がある患者が多かった。感染研では「高齢者は激しいのどの痛みなど、疑わしい症状があれば、ただちに医療機関を受診してほしい」と話している。
わが国における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の疫学(国立感染症研究所 2015年8月)
[Terahata]
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