ニュース
眼科医が教えるコンタクトレンズの注意点 失明に至る場合も
2015年08月27日
コンタクトレンズを使用している人で、目に障害を起こす人が増えている。調査によると、使用者の99%がレンズを正しく使用していないという。トラブルを防ぐために、正しく使用することが必要だ。
コンタクトレンズを正しく使用していない人が多い
コンタクトレンズを使用する人が増えている一方で、使用している人の10~20人に1人が、目に何らかの障害を起こしているとされる。その原因は、コンタクトレンズを正しく使用していないことだ。
米国疾病予防管理センター(CDC)が1,000人の米国人を対象に行った調査で、コンタクトレンズの使用者の99%が正しく使用していないことが明らかになった。
米国では4,090万人がコンタクトレンズを使用しており、年間100万人近くがコンタクトレンズが原因で角膜炎などを発症し、その医療費は約2億円(175万ドル)に上る。
コンタクトレンズが原因で目に炎症が起こり、眼科医を受診する必要が生じたことのある人は、使用者のおよそ3分の1に上るという。
調査によると、コンタクトレンズを装着したままシャワーを浴びたことのある人は85%、水泳をしたことがある人は61%、レンズを水で洗ったことのある人が35%に上る。
コンタクトレンズをケースに収めるときに、保存液を毎回新しいものに替える必要があるが、ケースを空にしないで古い液剤に新しい薬剤を付け足して使用している人が55%に上ることも判明した。
コンタクトレンズが原因で「角膜感染症」に
コンタクトレンズが原因となる代表的な病気は「角膜感染症」だ。角膜感染症とは、細菌やカビ(真菌)、ウィルスなどの病原体が角膜に感染し、炎症を起こす病気だ。
「角膜」は黒目の部分を覆う透明の膜で、眼球を保護したり、目に入ってくる光を屈折させる役割をもっている。カメラに例えるとレンズにあたる大事な部分だ。
そのため、角膜感染症にかかると視力が低下したり、ひどい場合は失明に至る場合もある。治療しても角膜に強い濁りが残り、角膜移植が必要となることもある。
強い充血や目の痛み、大量の目やになどの症状が出現し、角膜感染症が疑わしい場合には早めに眼科を受診する必要がある。
コンタクトレンズによるトラブルを防ぐためには、「眼科で検査と処方を受ける」「使用時間・交換期限を守る」「レンズをしっかりケアする」「使用中も定期的に検査を受ける」などの注意を守ることが大切だ。
コンタクトレンズを正しく使用するための注意点
手に付着した雑菌がレンズに付きやすいので、装着するときは必ず手洗いをして、その後で乾燥させて清潔にしてからレンズにさわる。 ・ レンズを外すときにも洗浄が必要
1日で使い捨てるタイプ以外は、毎日レンズを外すたびにしっかりケアすることが大切となる。レンズにはタンパク質や脂質などの汚れが付きやすく、細菌感染も起こりやすいので、洗浄は必ず必要となる。
ケアは、洗浄→すすぎ→保存の順で行う。レンズを外す前にせっけんで手を洗い、手のひらにレンズをのせ、洗浄液をつけて、表と裏を指でこすり洗いをする。 ・ コンタクトレンズやケースを水で洗わない
コンタクトレンズは、真水が少し混入しただけで膨張してしまうものが多い。変形したレンズは目を傷つける原因になる。 ・ 保存液の注ぎ足しをしない
一度使った保存液は雑菌が繁殖しやすくなっている。レンズをケースに収めるときは、保存液を全部入れ替える。 ・ ケースを毎回洗浄液で洗う
コンタクトレンズを収めるケースも雑菌が繁殖しやすい。ケースの汚れが感染症の原因となることは多い。面倒でもケースは毎回洗浄液で洗い、乾かしてから使おう。
また、ケースの寿命は3ヵ月であり、古いケースを使い続けないことが大切だ。 ・ 目に異物が入らないようにする
異物が目に入りやすい作業をする場合には、保護用眼鏡をかけるなど、目にゴミや雑菌が入らないようにする。 Contact Lens Wearer Demographics and Risk Behaviors for Contact Lens-Related Eye Infections -- United States, 2014(米国疾病予防管理センター 2015年8月21日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2023年08月09日
-
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より - 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年07月28日
- 2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
- 2023年07月24日
- 標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
- 2023年07月11日
- 自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
- 2023年06月20日
- 肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
- 2023年06月12日
- 自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
- 2023年06月05日
- 要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
- 2023年05月19日
- 令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
- 2023年05月18日
-
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-