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健康寿命を縮める最大の要因は「不健康な食事」「高血圧」「喫煙」
2015年09月16日

健康寿命を短縮し早すぎる死を招いている要因のトップは「不健康な食生活」「高血圧」「喫煙」「肥満」「糖尿病」であることが、世界188ヵ国を対象とした調査研究で明らかになった。
生活スタイルが健康寿命を短縮する最大要因
健康寿命を縮め死亡率を高めている最大の要因は、「不健康な食生活」「高血圧(収縮期血圧の上昇)」「喫煙」「肥満」「糖尿病(空腹時血糖値の上昇)」であることが明らかになった。

不健康な食事が死亡リスクを21%上昇させる
高血圧は2013年には年間1,040万人の死亡に影響しており、1990年に比べ死亡リスクは49%上昇した。男性でこの傾向は特に強く、男性では59%上昇したのに対し、女性では40%上昇した。
障害調整生存年数(DALY)は、「早死にすることによって失われた年数」と「障害によって失われた年数」合わせて算出される。2013年の高血圧によるDALYは全体の8.5%を占めると推定されている。
また、喫煙は男性の死亡の危険因子の第2位に位置付けられており、毎年440万人が喫煙が原因で死亡している。女性でも危険因子の第6位になっており、毎年140万人が死亡している。また、アルコールは男性の死亡因子の第10位にランキングされている。
さらに、肥満(BMIの上昇)、糖尿病(空腹時血糖値の上昇)、不健康な食事が、心筋梗塞などの心臓疾患、脳卒中、2型糖尿病などの死亡リスクを高める深刻な病気を引き起こしている。
食事の影響は大きく、野菜や果物の不足、全粒粉の不足、赤身肉の過剰摂取、塩分の摂り過ぎ、高カロリーの清涼飲料の飲み過ぎといった不健康な食事は、世界全体で死亡リスクを21%上昇させているという。
世界の男性の37%、女性の38%が肥満か過体重
肥満の影響は深刻だ。IHMEの調査で、2013年の世界の成人の過体重・肥満の割合は、男性は37%、女性は38%であることが判明した。1980年にはそれぞれ29%と30%だった。
肥満や過体重は世界的に1980年代から増えはじめたが、先進国では1992~2002年に爆発的に増え、2006年頃から増加率が落ち着きはじめたという。逆に途上国では、今後も増え続ける可能性がある。
特に肥満が増えているのは子供や若者で、50%近く増えているという。2013年の過体重・肥満の子供や若者の割合は、先進国では男性24%以上、女性22%以上に上る。
BMIが25を超えると、心血管疾患、がん、2型糖尿病、変形性関節症、慢性腎臓病を発症しやすくなり、健康上の危険性が高まる。2010年に肥満・過体重が原因で死亡した人の数は世界で340万人と推定されており、そのうちのほとんどが心血管系の原因であった。
「大気汚染などの要因は社会で取り組む必要がありますが、喫煙や食事などの生活スタイル、肥満などは個人が改善することで健康増進のポテンシャルを高めることができます」と、IHMEのディレクターのクリストファー マーレー氏は言う。
各国の政府当局には、国民が生活スタイルを主体的に改善するよう誘導する政策を推進することが求められている。
今回の研究は、ビル アンド メリンダ ゲイツ財団が資金提供して行われた。
Avoidable risk factors take an increasing toll on health worldwide(ワシントン大学健康指標評価研究所 2015年9月10日)Global, regional, and national disability-adjusted life years (DALYs) for 306 diseases and injuries and healthy life expectancy (HALE) for 188 countries, 1990-2013: quantifying the epidemiological transition(ランセット 2015年8月25日)
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