ニュース
「コンビニ健診」で特定健診の受診率を向上 近所で受けられると好評
2015年09月17日
特定健診の受診率を向上させようと、佐賀県は9月6日、コンビニエンスストア大手のローソンで「コンビニ健診」を実施した。
身近なコンビニで特定健診を受けられると好評
佐賀県は、特定健診とがん検診の受診率向上を目指し、日常生活で利用するコンビニエンスストアを検診会場とするモデル事業を実施した。昨年は2回実施し、今回が4回目になる。
同県の特定健診受診率は、2012年度は42.4%と目標の70%を大きく下回っている。また、がん検診の受診率は胃がん17.8%、肺がん26.8%、大腸がん25.5%(それぞれ目標は40%)、乳がん47.4%、子宮がん52.6%(それぞれ目標60%)と低迷している。
そこで、同県は、特定健診とがん検診の受診率を高めようと、高齢者向けの複合施設内のローソンでの特定健診とがん検診の実施を計画。全国健康保険協会(協会けんぽ)佐賀支部、ローソン、佐賀県医師会成人病予防センターなどの協力を得て「コンビニ健診」実施した。
当日は身近なコンビニで特定健診を受けられる手軽さから、30~80代の男女計99人が参加した。対象となったのは、2014年度に特定健診やがん検診を受けていない人。40歳?74歳で佐賀市国民健康保険加入者は1,000円、協会けんぽ加入の被扶養者は500円で健診を受けることができる。
来場者はコンビニで受け付けを済ませた後、店舗の駐車場に入れた検診車で身体測定や血液検査などを受け、隣接する高齢者向けの施設で医師による問診を受けた。9月が「がん征圧月間」であることに合わせて、がん検診にも幅を広げて肺がんのエックス線検査なども実施した。
医療機関より気軽に行け情報が伝わりやすい
コンビニ健診は兵庫県尼崎市に次いで全国で2番目の試み。コンビニを活用した特定健診・がん検診の実施としては全国最大規模だという。
参加者からは「自宅から近く、休日に健診、子育て中でしたので助かりました。近くで受けられるのは働く母親にとってはありがたい」といった声が寄せられた。
コンビニは受診を控えていた人にとって医療機関より気軽に行け、健診開催の情報が伝わりやすい。店側にとっても健診の受け付けなどの業務が増えるものの、健康増進のイメージの定着にもつながるというメリットがある。
心筋梗塞や脳卒中、糖尿病に代表される生活習慣病の根幹にあるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念は、症状で出ておらず投薬するほどでない状態から、一次予防を進めようというものだ。
厚生労働省の国民生活基礎調査(2013年)によると、健診などを受けなかった主な理由として「時間が取れない」「必要な時はいつでも医療機関を受診できる」「面倒だから」が挙がっている。
未病の段階から生活改善に取り組むきっかけになるという特定健診の基本的な考え方が浸透すれば、このような理由による未受診は減る可能性ある。
コンビニ健診・啓発イベントの取組(佐賀県)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月18日
- 人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月18日
- 健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月09日
- 子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
- 2024年04月08日
- 【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
- 2024年03月18日
- メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万⼈のビッグデータを解析 新潟⼤学
- 2024年03月11日
- 肥満は日本人でも脳梗塞や脳出血のリスクを高める 脳出血は肥満とやせでの両方で増加 約9万人を調査
- 2024年03月05日
- 【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
- 2024年02月26日
- 近くの「検体測定室」で糖尿病チェック PHRアプリでデータ連携 保健指導のフォローアップなどへの活用も