ニュース
音楽を聴きながらウォーキング 自律神経の活動が改善し心臓もリラックス
2016年02月24日

音楽を聴きながらウォーキングなどの運動をすると、「自律神経」の活動バランスが整えられ、運動後にリラックス効果を得られることが、東北大学の研究で明らかになった。
なぜウォーキングをすると動悸や血圧上昇が起きやすいのか
「自律神経」とは、無意識に体内の環境を調整している神経のネットワークだ。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」のふたつがあり、交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働く。
交感神経が活発になると、心臓では心筋収縮力の増強と心拍数の増加が起こり心拍出量が増大する。これに対して副交感神経が活発になると、心筋収縮力が減弱し心拍数が減少する。
運動を行うと、短期的には交感神経の活動が増加し、副交感神経活動が低下する。このふたつはバランスを取り合って車のアクセルとブレーキのような働きをするが、交感神経が優位になると心筋収縮力の増強や心拍数の増加が起こり、動悸を感じたり、末梢血管の収縮によって血圧が上昇する場合がある。
ウォーキングなどの運動をするとストレスや緊張が高まり、心身が疲弊してしまうのは、交感神経の活動が強くなりすぎるからだ。そうした場合は、気分を落ち着けるような音楽を聴きながら運動をすると、副交感神経の活動を高められ、自律神経のバランスが整えられることが、東北大学の研究チームによって明らかになった。
気分を落ち着かせる音楽が自律神経の活動を調整
気分を落ち着かせるような音楽には、自律神経の活動を調整し、特に副交感神経活動を高める効果がある。研究チームは、音楽を聴くと副交感神経の活動が高まり、リラックス効果を得られることに着目した。
研究には26人の健康な人が参加した。参加者は、(1)何もしないで座っている(安静セッション)、(2)気分を落ち着かせる音楽を聴きながら座っている(音楽セッション)、(3)「ややきつい」と感じる運動を行う(運動セッション)、(4)音楽を聴きながら運動を行う(併用セッション)、という4つのセッションをそれぞれ別の日に15分間行った。
研究チームは、参加者の「心拍変動」を解析し、交感神経と副交感神経の働きを調べた。心拍は「ゆらぎ」をもっており、交感神経が働くと拍動の間隔が短くなり心拍数が上がり、副交感神経が働くと拍動の間隔が長くなり心拍数が下がる。心拍変動を調べてゆらぎの周波数成分を解析すると、自律神経の活動を測定することができる。
その結果、音楽セッションでは副交感神経活動が有意に増加し、運動セッションでは副交感神経活動が低下したが、音楽を聴きながら運動した併用セッションでは、終了後の副交感神経活動は開始前の値とほぼ同じに回復した。
つまり、気分を落ち着かせる音楽を聴きながら運動をすると、副交感神経の活動の低下を抑えられることが明らかになった。
不整脈や心臓突然死などの予防にも役立つ可能性

Music Attenuated a Decrease in Parasympathetic Nervous System Activity after Exercise(PLOS ONE 2016年2月3日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】