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特定健診の基準を見直し 「腹囲が基準未満」でも心血管疾患リスクが2倍に
2016年04月14日
メタボリックシンドロームに着目した特定健診で腹囲が基準(男性85cm、女性90cm)に満たなくても、高血糖や高血圧、脂質異常などの危険因子が1つでもあると、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが約2倍になるとの調査結果を、厚生労働省研究班(研究代表者:門脇孝・東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科教授)が発表した。
腹囲とBMIが基準値未満でもリスクがあると心血管疾患は2倍に増加
2005年にメタボリックシンドロームの診断基準が策定され、内臓脂肪蓄積を診断の必須項目とし、内臓脂肪面積100㎠以上をマーカーとして、腹囲(ウエスト周囲長)の基準値が「男性85cm、女性90cm」と定められた。2008年度から「メタボリックシンドロームに着目した特定健診・特定保健指導」が開始された。
厚生労働省研究班(代表者:門脇孝・東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科教授)は、心筋梗塞などの心血管疾患発症を効果的に予防するとために、腹囲の基準値を見直す必要性について検討している。
腹囲を「男性85cm、女性90cm」から厳しくした場合の影響
「BMIと腹囲の基準値をともに満たさない"情報提供レベル"の群でも、血糖、脂質、血圧のリスクファクターがない人と比べると、リスクファクターがある人では、心血管疾患発症のリスクが上昇することが明らかになった」と研究班では述べている。
なお、研究ではメタボリックシンドロームを構成するリスクファクター数が1を超える腹囲は男性では85cm前後、女性では90cm前後であることが示された。これは、現行のメタボリックシンドロームの診断基準の基準値と合致する。
「メタボリックシンドロームに着目した保健指導では、腹囲を必須とする基準で診断することに妥当性がある。"内臓脂肪を減らす"という介入は簡明で合理的な手段であることが確かめられた」と、研究班では述べている。
一方で、腹囲の基準値を現行の「男性85cm、女性90cm」からより厳しくした場合の影響についても検討した。特に女性では心血管疾患発症のリスクを下げる効果が得られるという。もしも女性の「腹囲90cm以上」あるいは「腹囲90cm未満でBMIが25以上」という基準を外し、腹囲80~90cmも対象に加えると、65~74歳の女性で心血管疾患発症のハザート比は2.8から1.8に改善すると推定された。
そうした場合は特定保健指導の対象者が増えるとみられる。「動機付け支援レベル」の女性は現行の18.2%から32.9%に増え、「情報提供レベル」の女性は76.3%から60.7%に減ると推定されている。「積極的支援レベル」の女性の増加はわずかにとどまるという。
「動機づけ支援レベル群が増加することと、女性の前期高齢者(65~74歳)では心血管疾患発症のリスクが低い人を多く拾い上げることが明らかとなった。医療資源・医療費に余裕がある場合に介入の対象となる可能性がある」と研究班では述べている。
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